*懺悔したいほど

《今から屋上に現れる人に告白してください!婆裟羅学園報道部のドッキリ企画です!》

クラスメートの女の子たちに、仕掛け人を引き受けてほしいとお願いされたのは、数日前……

人生において、告白なんてしたこともなかった私に嘘でも告白する女の子をやれだなんて、無理がありすぎます。

そう一生懸命訴えたんですが、上杉さんにしかお願いできない!と涙目でお願いされたら、断り切れませんでした。

なので、私は只今仕掛け人として、屋上で待機しています。

というか、告白する相手の方の名前すら聞いていないことに今気付きました。

うぅ、本当にこんなので大丈夫なのでしょうか。

オロオロと戸惑いが大きくなってきた時、不意に屋上の扉が開く。

顔を上げれば、そこには一人の男子。

あれ、この人どこかでみたような……あぁ、いえ、それよりも今はドッキリ企画を……っ


『お、お呼びだしして申し訳ありません!あのっ、私、貴方が大好きですっ、付き合ってくださいっっ』

「なっ……、ま、誠か?!」

もう真っ赤になって告げた台詞に、男の子は同じように真っ赤になって狼狽えていた。

「……な、名前も知らぬというのに……否、それはワシもか」

爽やかな照れ笑いが、なんだか可愛らしい。

その表情を見たら、なんだかチクリと胸が痛みました。

今更ですが、このように人の気持ちを振り回すような嘘をついて良かったのかと……


「はい!婆裟羅学園報道部でぇす!」

「……っ!」

報道部の女の子たちが驚いている男の子を囲んだのをみて、申し訳ないように頭を下げてから私はその場から逃げ出した。

事情は報道部の人が説明してくれるだろうし、きっと男の子も私の顔など覚えていないだろう。

ならば、早くこのドッキリ企画も記憶の彼方に飛ばしてもらった方がいい。

「……、あっ、待ってくれ!」

男の子が慌てて私に声をかけてくれたようでしたが、怒られるんじゃないかと思った私は、ダッシュで逃げました。




(徳川家康くん、お疲れさまですー、ドキドキしましたかー?)

(あ、あぁ。……まさか嘘だったとは)

(あはは、ごめんなさいー。まぁ、徳川くんの照れ顔、写真にも映像にも残せたんでー)

(っ?!もしやさっきの仕掛け人の女子の写真や映像なども……っ)

(……も、もちろん)

(か、買わせてくれ!!)
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