俺はゴッドエデンで育った。ゴッドエデンにいつからいたかって聞かれれば、物心ついた時から。それより前からいたのかもしれないけれど。
親はいない。というか知らない。自分の名前も知らなかった。誰かが、俺のことを或眞と呼んだ。その日から、俺は或眞。
小学生…っていうか、小学校に入学できるようになる年。つまり6歳から、俺は訓練をさせられるようになった。なんの訓練かなんて、その時の俺はわからない。大人たちが化身がどうたらこうたら言ってたけど、次々に俺目掛けて物凄いスピードで襲ってくるボールをただがむしゃらに避けるだけ。あの時の俺は、毎日謝っていたかもしれない。俺はなにも悪くないのに。あ、化身が出せない俺にも非があったのかな?
そして、念願の(俺にとっちゃ念願ではないけれど、大人たちにとって)化身が出せるようになったのが、小学校高学年。11、2歳…だったっけ。それから、俺はどこかの家に引き取られた。まるでもうお払い箱みたいに。化身が出せればゴッドエデンにはいなくていいらしい。正直、俺はゴッドエデンから抜け出せて清々した。いや、違う。安心したんだ。なにせ、俺にとってゴッドエデンは恐怖以外のなにものでもなかったから。

そして俺は、佐藤或眞になった。




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