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「あ〜、今日の残業は疲れた」


憧れの企業に就職が決まって今年度から晴れて社会人になった。
案の定、新入社員は研修や覚える事が多くて大変だ。
でも、それが楽しかったり。
結構飲み込みが早い方だしな。
同じ部署の先輩に地味だけど出来る男、松本 大助(まつもと だいすけ)ってキャッチフレーズを付けてもらったぐらいだ。
……地味だけどは余計な気もするけど。
人間見た目じゃないんだから!
面食いな俺が言うのもあれだな、うん。

今日は会議に必要な資料をまとめていていつもより遅くなってしまった。
今までで最長の残業だったけどホームには結構人が居る。
皆、お疲れ様です。


この会社の最寄り駅は丁度快速が停まる。
俺の家は終点にあるから快速に乗らないとかなり時間が掛かる。
行きは始発に乗れるから良いんだけど帰りはかなりつらい。
これなら家賃ケチらずにもっと近くに引っ越せば良かった。
現に今、2本目の快速を見送った。
この時間帯ってこんなに人が多かったのか!?
このまま待っていても埒が明かないな。
仕方無く次に来た各停に乗る事にした。
何とか乗れたけど各駅もかなり混んでる。
これなら次の快速も乗れなかっただろうな。
各停でもこの人の多さって何だよっ!
ドアに押し付けられて苦しい。
まぁ幸い、こっちの扉は運良ければ終点まで開かない。
人混みに押し出される心配は少ないな。
あー、こんだけ人に体を支えられてる状態なら立ったまま寝れるかも。
そう思った瞬間、電車が大きく揺れて咄嗟にドアの近くの手摺りを掴んだ。
あ、危なかった…!
立ったまま寝るなんて無謀な考えだった。

そのまま手摺りを掴んでおこうか考えていると自分と同じように手摺りを掴む手に気付いた。
色が白くて綺麗な手だ。
この手なら女性だな。人混みで潰されてないと良いけど。
潰れていないか心配で振り向くとそこにはウェーブがかったショートヘアがよく似合ってる可憐な美少女。
か、可愛いっ!
ほんとにすっごく可愛いっ。
こんなに可愛い子が後ろに居るなら満員電車も悪くない!
揺れた時にうっかりぶつかってそこから出会いが…なんて妄想を膨らませていたらガラス越しに彼女と目が合ってしまった。
慌てて視線を逸らそうとしたけど彼女は目を合わせたまま微笑んで背中に密着してきた。
なっ、なななっ!
こ、これは期待しちゃうぞっ!
背中に感じる体温に興奮していたら手摺りを持っていた彼女の手が離れて代わりに俺の股間を撫で始めた。
……え?











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