「はぁっ、く…!」
「ゔぅっ!」
一気に突き立てられると同時に中に熱いもんを注ぎ込まれた。
じんわりと熱が伝わるのに体が熱くならない。
こいつの事だ。一回始まるとなかなか終わらないと思って諦めたのにゆっくりと中から引き抜かれてく。
「抱き潰すまでもねぇな。気持ち良くねぇ…」
背後から聞こえた言葉に終わりを悟った。
何もかもが終わったんだ。
この行為と同時に、何もかもが。
まだ体に力が入らなくて床に伏せてたら荒々しく髪を掴まれて仰向けにされる。
視界が歪んで雅兎の顔が見えねぇ。
髪を掴んでる手と反対の方が胸ポケットに伸びて金を奪われた。
こいつの家柄から考えて人の金奪う必要なんかねぇのに…。
「なぁ、これが賭けに勝った金か?しけてんなぁ…」
あれ?何でこいつが知ってんだ?
俺、お前にその話したっけ。
「クラスの連中とゲームで賭けたんだろ。テメェが俺をオトせるかどうか」
段々雅兎の声が冷たさを帯びて床に頭を叩き付けられる。
視界がまたぼやけてく。
「これ、明日にちゃんと返すんだな。俺はテメェなんざこれっぽちも愛してねぇ。面白そうだから付き合ってやっただけだ」
髪を掴んでた手が離れてまた床に頭を打ち付けた。
もう頭の痛みなんか感じねぇ。
そうか、こいつが怒ってた理由がやっと分かった。
でも、それは違う。
口に捩じ込まれてたネクタイが抜かれて足りなかった酸素を吸い込む。
肺が苦しい。
「おら、謝罪ぐらいは聞いてやるから言ってみろ」
「はぁっ、ぁ…ちが、う…」
「あ゙ぁ?」
「おれが、おとせるか、かけたの…おまえじゃ、なくて…げ、むの、もんすた…」
ずっと声を出せなくて掠れてしまった声で弁解した。
ちゃんと聞けよ。
勘違いしてんだよお前は。
確かにオトせるか賭けたけど、それはお前じゃなくて巷で流行ってるゲームのレアモンスターだ。
前に倒したのを誇らしげに話したら嘘だの何だのと言われてそこからゲームを持ってる奴等を巻き込んだ賭け事にまで話が発展した。
皆の前でゲームをプレイして証明して賭けた金を貰った。
ただそれだけの事だったのに。
「わかれたく、ねぇよ…」
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