らしめたいの



※公式の投下にフォロワーさんと盛り上がったシズデレラ×継母臨也





「さっさと拭きなよ!」
「……っ」
丸めていた背中をガツリと蹴られ、思わず床に突っ伏しそうになる。俺は、踏みつけてしまいそうになったドレスの裾を払い苛立ちも露わに立ち上がった。
頑丈な身体なのでたいしたダメージではないが、そろそろ我慢も限界だった。
今日は朝から屋敷中の床の雑巾がけを命じられた。とても一人で終わる量ではない。だが、こうしてたびたび掃除の様子を見に来てはわざと磨いたばかりの床を汚すのだ。
継母の臨也は、事あるごとに俺に辛く当たる。きっと俺が血が繋がっていないせいだろう。だが、今日に限っては特に酷い。
「全く…っ。俺は君ばかりに構っている暇はないんだよ!」
臨也は薄紫色のドレスを翻し、高飛車に吐き捨てる。
「俺はこれからパーティーに行くんだからね!」
「……うぜぇ」
俺は俯いて臨也には聞こえないような小声で詰った。だいたい、臨也の言動は矛盾していると思うのだ。そんなにパーティーに行きたいなら、俺を虐めていないでパーティーの仕度をすればいいのに。それは、ずっと俺の中で引っ掛かっていることだった。
「…新しい男が待ってるんだろ?俺なんか放って置いて支度しろよ」
「…っ、そう、だけど」
俺が呆れたように言い返せば、臨也はなぜか急に言い淀んだ。そして、不自然に視線を逸らすものだから俺は首を傾げた。何か間違ったことを言っただろうか。
普段は部屋に篭って俺にはよくわからない機械を弄っている臨也は、人間観察に行くとこれまたよくわからないことを言いながら頻繁にパーティーに出かけている。性格は最悪だが容姿は恐ろしいほど整っている臨也は引く手数多なのだろう。毎日のように知らない男たちからパーティーの招待状が届くのがその証拠だ。
「なんだよ、さっさと行けよ」
「う…」
煮え切らない臨也の態度のわけはよくわからない。だが、時間がないなら行けと追い払うように言えば、臨也は俺のほうをチラチラと伺い見てくる。
(臨也の奴…何考えてんだ?)
最近、いつもこんな調子なのだ。俺に突っかかってきては喧嘩となり、結局はパーティーへと出かけていく。一体なんだというのだ。
だが、考えたところで答えが出るわけでもない。元来短気な俺はいい加減に鬱陶しくなり、しっしと雑巾を振ってやれば臨也はとうとう睨みつけてきた。
「とにかくっ、ムカつくから屋敷中をピカピカにするまでご飯抜き!」
「はあ!?」
それはとんだ言い掛かりだと言えた。俺は何も悪いことをしていないのだから。
「クソ蟲が…っ」
スカートを翻し去ろうとする臨也の細腕を掴む。それに、何よりはっきりしない態度に焦れたからだ。
「なんだよ、臨也!言いたいことがあるならはっきり言えよな」
「そ、そんなものないよ!離しなよ!」
「離すかよ!」
掴まれた腕を強引に振り払おうとする臨也に舌打ちすると、俺は近くの部屋へと臨也を引っ張っていく。こうなれば徹底的に問い詰めてやろうと思ったのだ。
「痛いってば!」
「うるせえ!」
臨也の文句には一切耳を貸さずに、一喝してやる。そして、部屋の中に放り込むと、後ろ手にドアを閉めてご丁寧に鍵をかけて退路を絶ってやった。
「……!?」
なんとか逃げ道を探そうとしている臨也へ大股で近づくと、有無を言わせず壁へと押さえ付ける。利き手である右手を掴めば、手首の骨が軋む音に臨也が顔を顰めた。
「シズちゃん痛いっ!何するの…!?」
「おいおい、質問してるのは俺だ。答えろ、臨也。…俺に言いたいことがあるならはっきり言えっつってんだろ」
そうして臨也に凄んでみせても、さすがにすぐには口を割る気はないらしかった。
「…知らないよ」
子供のように唇を尖らせて視線を彷徨わせる臨也は、なんとか誤魔化してこの場を凌ごうとしているのがバレバレだった。だから、俺のほうから仕掛けてやることにする。
「ああ、早くしないと男が待ってるんだもんなあ?この貧相な身体で誘うのかよ、臨也くんよぉ」
「……っ」
蔑むようにドレスの上から太腿を撫でてやれば、臨也が悔しそうに唇を噛み締める。反撃しようにも俺の力に敵わないこともわかっているからだろう、睨み返すのが精一杯のようだった。
そして俺もまた、こうなれば何がなんでも口を割らせてやりたくなったのだ。
「話す気ねぇんだな?…まあいい」
「……?」
不敵な笑みを浮かべてやれば、さすがの臨也も気まずそうな表情をしたのは一瞬。俺は掴んでいた手を離してやり徐に跪くと、邪魔でしかないドレスを捲り上げてその中に潜り込んでやる。
「な…!?」
さすがに驚愕を隠し切れない臨也が慌ててドレスを掴むのだれど遅い。
俺の頭の中は、日頃の仕打ちへの仕返しも込めて、臨也に嫌がらせをしてやることしかなかった。
「俺を蹴ったのはこんな女みたいな足かあ?」
「うあ…っ!?」
眼前にスラリと伸びる臨也の足を撫で上げてやる。こんなことくらいで途端にヒクリと膝が震わせているのが可笑しかった。
「何隠してんだよ…?」
そうして辿りついた先で太腿を覆っているズロースをクイクイと引っ張る。さすがの臨也も、思い出したかのように抵抗し出した。
「ちょっと…!」
ズロースを引き下げようとする俺の手を阻むようにジタバタと足を動かすものだから、俺は面倒臭くなって一気に引き裂いてしまう。
「動くなよっ」
「あ…っ、破って…!?」
ビリビリと布が無残にも裂ける音を聞き付けた臨也の顔を想像するだけで気分がよくなった。床の上にズロースの残骸がハラハラと舞い、隠されていた太腿が露わになる。
「も、や、やだ、シズちゃっ…!」
「知るかよ」
まさか俺にこんな無体を強いられるだなんて思いも寄らないことだろう。それに、臨也からすれば俺がモゾモゾと身じろぐたびにドレスの膨らみが揺れるだけで、次に何をされるか予測が付かないのが不安なのだろう。
いつもいつも自分の思い通りになるだなんて思ってもらっては困る。本当にいい気味だ。
「あ…っ」
狭く薄暗い視界の中でも臨也の白い足がよく映える。普段はドレスに隠されているから、じっくりと見たのは初めてだ。
(白いし細ぇし…。折ってやりてぇなあ)
臨也の足の柔らかさを堪能しながらゴクリと喉を鳴らす。そんな獰猛な気分になるのが不思議で堪らなかったが、気がつけば臨也の太腿に舌を這わせていたのだった。




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2011.7.25 up
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