リレー小説 FTサイト管理人四人によるリレー小説 |
15 ロキから目線を落すと日差しをたくさん浴びた緑色に敷き詰められた草の間に小さな花を見つけた 薄らとしたピンク色をした小さな花である 似ても似つかないが、ただ、ピンク色というだけでいつも喧嘩が絶えないアイツを思い出させる 今頃、どうしているだろうか お節介なアイツの事だから、こちらのグレイの世話を焼いているのだろう 知らず、口端が上がっていたらしくロキが軽くため息をついた 「誰の事を考えてるの?」 「あ・・・すまねぇ」 「ねぇ、あっちの世界の話しを聞かせて」 筋の通った高い鼻、薄い唇、切れ長の目尻は多少釣り上がりってはいるものの笑った時に見せる慈愛に満ちた瞳は思わず見とれてしまう ニッコリと笑うそのロキの顔は素直にカッコいい こうやってじっくりと顔を見るとやっぱり違うんだと思えた 何が違うかとはっきりとは言えない。顔だって声だってすべて同じなのだから だけど、雰囲気が・・・少しだけ、ほんの少し異質なものを感じるのだ 「あっちでは・・・普通の高校生やってたよ。」 「高校生・・・かぁ。そこであっちの僕は君の先輩だったんだね」 「あぁ」 「そして、あっちの僕は君に何か間違いをしでかした・・・ってこと?」 「いや・・・」 首筋の辺りからチリチリとした熱が込み上げてくる 両ひざの間に隠すように顔を埋める。多分、顔も赤くなっているに違いない。嫌な汗まで流れてきたような気がする そんな俺の行動にロキは乾いた笑い声をたてた 「グレイ・・ごめんね。向こうの僕はよっぽどの事しちゃったのかな」 温かい手の感触が髪を撫でつけていた そんなロキに対して自分の行動が申し訳ない気持ちとムズムズするような感覚に顔を上げ、両膝の上に腕を置く 目の前の光景は緑色の草がそよぎ、川のせせらぎの音が聞こえる平穏な空気が流れていた 「違うんだ、ロキ・・・」 他の人にとってはもしかしたら大した事無い出来事だったのかもしれない。そう心に言い聞かせる 「何が違うの?」 ロキはただ不思議そうに尋ねてきた 「ロキ先輩は・・・ただ、いや、きっと俺をからかっただけなんだと思う」 多少、疑問形を含んだ形でそういうとロキは不服そうに鼻をならした 「あっちの僕にとって君はどんな存在だったのかな・・・」 表情は変わらないが悲しそうなその瞳に先輩を見つけた気がした 「部活の先輩だったんだ。っていってもわかんないかな。俺がいた高校で同じ部活動しててさ、もう1年前に卒業しちまったんだけど、卒業したあとなんかも何かと相談にのってくれたりしてくれて仲が良かったんだ」 身体の緊張を解すように一度大きな伸びをするとロキの方へ向き直った 「でさ、先輩と同じ大学目指してて大学の話しでも聞こうかと先輩に合った時に告白された」 目の前の同じ顔、瞳、鼻、唇。髪型は多少違うかもしれないし、着ている服も違う。心を落ち着かせてみるとやはり別人なんだと思えた 「僕の気持ちを押し付ける気は無いけど、考えて欲しいって言われたんだ」 大まかな話をすれば簡潔だった。そう、ただ告白と言えるものだったんだ 目の前のロキへ話した内容は間違ってはいない。だけど、あの時の至近距離で見たのは熱を孕んだ瞳だった 頬に添えられた手、ほんの一瞬の掠めるようなキス。 仲の良い友人という考えでしかなかった俺には心臓が鷲掴みされるような驚きだった 動揺で何も考えられなくなった俺はその場から逃げだした 今、よくよく考えて見ると先輩に申し訳ない気持ちで一杯だった 「グレイ、その先輩の事よく考えてあげて欲しいな。僕が言うのもなんだけど、きっと真剣だよ。逃げるのだけはやめてね」 的を得たその言葉に虚を突かれたものの 少し悲しそうなその笑い顔に首を縦に振った。 「よし、グレイ!まずは君が向こうに帰らなきゃ意味が無いし、なんとか帰る方法を見つけよう」 そう言いながら起ちあがったロキが手を差し出してきた 一瞬、戸惑ったが差し出された手を掴み引き上げられるように起ちあがった 「ロキ、サンキュー」 少し恥ずかしげに小さな声で呟くとロキは間の抜けた顔をしていた ちょっと面白い顔を見たなと思って笑うとロキも釣られて笑い出した そして、突然、笑っている顔が真顔に戻ると何かブツブツ呟きだしたのだ 何事かと思っていると「ルーシィから連絡が入った」と告げられた 次は守破離のはる様゚+◎b`ゝ∀・)φ… - - - - - - - - - - 2013.2.20 RIU. |
14カイ様 back |