すずたろちゃんと小説リレー
お題→窓

ねちっこい喋り方をする教師の話し声が教室に響く。
形だけでもと広げているノートは真っ白で、
なんだか馬鹿馬鹿しいなと思いそれをも閉じた。
窓際の席に当たったのはけっこうラッキーだったななんて思いながら頬杖をついて外を見る。
日差しがたまに眩しいけれど風も通るし、運動場が見えて暇つぶしには丁度いい。
強風のとき舞うカーテンは邪魔くさいし、クラスメイトからの窓の開閉要望もきかなくっちゃいけないのは少し面倒だけど。
吹いた風が、汗ばんだシャツの間をすり抜けていくのはなんだかんだいってもやっぱり心地いい。

グラウンドからする掛け声に、耳を傾ける。
この春入ってきた1年生の声は張り切りすぎているのかたまに裏返っていた。

ふと、揺れる髪の毛が目に付いた。
走る身体に合わせてぴょこぴょこ跳ねるポニーテール。
どうやら彼女は周回遅れらしく、
他の生徒に追い抜かれるたび慌てて追いつこうとスピードを速めてみたが
やはり疲れ、挙句の果てには足がもつれて転んでしまった。
思わず大丈夫か、と顔をあげたがクラスメイトが彼女の元に駆け寄り声をかけていたので
安心して小さく息を吐く。よかった、と声にしないように呟いた。

ガタガタ、と一斉に人が動く音で我に返った。
いつの間にか授業が終わっていたようだ。
というか、チャイムの音が聴こえない位知らない生徒を
眺めていたのかと思うのとちょっと気持ち悪いなとまた溜息をつく。
不意にグラウンド側から視線を感じたような気がしてそちらに目をやったけれど、
先ほどの彼女はクラスメイトと楽しそうに話している。さすがに気のせいか。

次の時間も苦手な教師の授業。どう時間をつぶそうかと考えたが、
脳裏に浮かんだのは綺麗に束ねられた跳ねるポニーテール。
学校生活もあと半年だし、なんて理由を付け加えながら教科書を出した。
シャーペンの芯を出す音がなんだかいつもより軽やかに聞こえた。

次→髪の毛




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