絹糸のように柔らかいフリーセルの髪の毛に顔を埋め、
耳たぶに小さく口づけを落とす。
「ねえ、フリーセル」
「なんだい、ピノクル?…て、いうか、くすぐったいんだけど…」
肩を竦めくすくすと笑うフリーセルの頬を撫で、ピノクルは俯いた。
「…ごめんね。」
突然そう呟いたピノクルにフリーセルは一瞬きょとんとして首を傾げた。ふわり、と髪が揺れる。
「突然どうしたの?」
ぱちぱちと瞬きをしながらそう尋ねるフリーセルにピノクルは顔を上げ微笑む。
「ううん、何でもない。気にしないで。」

カチ、カチと時計の秒針が音を響かせる度に息をのむ。
きっと、もうすぐ彼は気づいてしまうのだろう。
今だって楽しそうに彼女の名前を声に出している。


ごめんね、フリーセル。
別れを告げる辛そうな君の顏を見ることになると、判っていたのだけれど。
君からさよならを言わせてしまう僕をどうか、許して。


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