壁一面に備え付けてある棚に少女はまた一つ出来上がったパズルを並べた。
木材で出来たそれに同じ木のパズルを置くとことん、と優しい音がして思わず目を細め微笑む。
「きみを解いてくれるのは誰だろうね。」

自分の言っている、誰かが特定の人物に限定されているのだけれどその誰かの名前を呼ぶことが、どうも出来ない。
でも、作ったパズルを解いてくれる誰かのことを思うと心がじんわりと優しい気持ちであふれていく。

と、そこまで考えて少女はぶんぶんと自分の頭を振って持っていたパズルを放り投げる。
「こんなの、こんなのは、私じゃないわ。・・・そうよ、私は嫌な子なのよ。あの人たちにだって、きっとそう。」
自分で言ったのに馬鹿みたいだわ。小さくそう呟きながらぽたり、ぽたりと涙の粒が床のパズルに落ち、滲んでゆく。

「早く、早く、」

その言葉の続きを飲み込んで、濡れたパズルを拾いそっと撫でた。

(わたしはそうよ、強がりで嫌な女の子)


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