「ねえ、ギャモン。作り笑いだってなんだっていいから、笑ってくれない?」
急にどうしたんだ、とからかうと名前は笑えないくらい泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「私ね、ギャモンが好きよ」
「ぶっ…いつも言われてっから知ってるわ」
さっきの表情が嘘みたいに名前がそう笑うものだから、ギャモンもつられて笑ってしまう。
「うん、いつも言ってるね、大好き」
「なんだよそれ」
それからくすくすとお互いに笑い合う。
恋人のように甘い雰囲気ではなく、かと言って友達みたいな軽さでもない。
ただただ心地良いそれに名前は眩しい光を見るようにそっと目を伏せた。
「有難う。やっぱりギャモンの笑った顔は馬鹿みたいに元気が出る」
「それ喧嘩売ってんのか?」
「褒めてる褒めてる。お陰で勇気出たって。」
「俺は知らねえけどな」
「ありがと」
「おう」


(勇気と言われると希望的なことを想像していたのに)

彼女の新たな一歩を祝福するように、星が、月がきらきらと光る。
ふわり、と真夜中の屋上から少女は羽ばたいた。

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