「ねえ、ノノハ」
すうすうと微かに寝息をたてる彼女の髪に触れながら、呟く。
今は隠れている瞳の奥に、映っているのは本当に自分で良かったんだろうか。
「彼じゃなくて、僕で。」
聞こえた自らの声があまりにも悲痛で消え入りそうなもので、眉をひそめる。
「ねえ、」
むにっと、女の子らしい柔らかい頬をつねる。
「んう…ふりーせる…くん?」
どんな夢を見ていたのだろう、寝ぼけ眼のままふわりと微笑む。
「ノノハはさ、僕、が好き?」
自分で聞いた癖に。答えが怖くて弱虫な僕を嘲笑しながら彼女から顔を逸らす。
「どしたの、急に。…好きだよ、フリーセルくんが。」
少し頬を赤らめながらも躊躇いなくそう言い、笑う。
その真っ直ぐさが、彼を、そして僕を支えているんだろう。
「…ありがと、ノノハ」
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