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「皐月にはなるべく動きやすい服を着てほしいからな。男服なんてどうだ?」
「駄目だよ。皐月だって女の子なんだから、可愛い服じゃなきゃ」
「にゃにをぅ!!? 貴様は妖と戦ったことがないからそんな事が言えるのだ!!」
「じゃあ女の子らしくて動きやすい服にしようよ」



私の選択権は無いんですね。



「服なんてどうでも良いよ、二人とも」



呆れながら言うと、二人はバッと私を見て「駄目だ!!」と言った。一体どこで必死になってるんだか……。呆れてため息をついてしまう。ふと、ナタは帰らなくて良いのだろうか、と思ってしまった。ナタはゲームでも結構フリーダムな感じだったし、一人で行動していても問題ないのだろうか。



「ねえ、皐月はどう思う?」



ナタをじっと見ていると、ナタが振り返ってそう聞いてきた。「えー」と言いながら斑が持っている服と、ナタが持っている服を見比べる。斑は動きやすさを重視してなのか、半そで短パンの中華服。ナタは可愛らしさ重視なのか、ピンクでヒラヒラとした着物。正直言って、どちらも私の好みじゃない。



「露出控えめの動きやすそうなのって無い?」



そう言うと、二人とも残念そうに中華服と着物を戻した。そして、またもや「あーでもない」「こーでもない」と言い争いながら私の服を選ぶ。これは、もう、私自身が選んだ方が良いんじゃないだろうか。



「ほい、どいたどいたーっ!!」



これ以上二人に任せるのは不安なので、二人の間に割って入る。斑もナタも驚いているけれど、私はそれを無視して好きそうな中華服や着物を手に取って見ていく。柄は好きだけど色が微妙だったり、色は好きだけど露出が高かったり、選ぶのは大変だ。



「あ」



しばらく見たり漁ったりしていると、なんだか良い具合の服を見つけた。それは柄付きの緑色のアオザイ。露出はほぼ無いし、動きやすそうだ。それを手に取り「これにする!!」と二人に言う。斑は「動きやすそうだな」と頷くけれど、ナタは「もう少し可愛いのにしたら良いのに」と言っている。何を言われてもこれで決定だ。




 ***




自分で選んだアオザイを、店の人に許可を得て中で着替えさせてもらった。待っている斑とナタがいる外へ行き、くるっ、と一回転して「どう?」と聞く。ナタは「似合う」と言ってくれ、斑も「これなら戦うのに支障は出なさそうだ」と言った。斑は最後まで動きやすさ重視だな。



「さて、あとは食料や寝床の問題だな」



そう言って斑は辺りを見渡す。食料はたくさん売っている。だが、寝床が見つかるかどうかは分からない。思わず溜息が出てしまう。また野宿は勘弁してくれ。



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