変魂if | ナノ

『ゾンビ編 1/4』


ゴロゴロゴロと鳴り、ピシャーンッと落ちる。それを繰り返す雷の音に「寝れねぇじゃねぇか!」と怒鳴りそうになる。しかし、私が寝ようとしている今でも本部移転の為に引っ越し作業をしている人がたくさんいる為、我が儘は言えない。逆に、寝そうな私を気遣って「少し寝てきなさい」と苦笑した婦長に感謝だ。



「ッ!?」



その時、ふっと部屋の電気が消えた。驚いて周囲を見渡す。忍たま世界の生活に今ではすっかり慣れてしまっている為、電気が消えて暗くなっても夜目がきくようになっていることが幸いだ。すぐさま部屋のドアへと行き、部屋の外に出る。しかし、人気のある廊下も真っ暗だ。



ヒヒ……ヒヒヒヒ……



突然聞こえてきた不気味な声に、小さく「ひっ!」と悲鳴をあげてしまう。きっと誰かが悪ふざけしてるんだ、きっとそうだ。恐る恐る周囲を見渡し、幽霊らしきものがいないことを確認し、ホッとする。さて、この暗闇を打開するには原因を絶つしかない。つまり、落ちたであろうブレーカーを戻すしかないのだ。



「確かブレーカーは……」



此処から近くの場所にあったはず。皆の為にいっちょ頑張るか。頭の中で目的地を思い出し、そこに小走りで向かう。たまにそこら辺にいる人にぶつかってしまいそうになりつつも、スピードを落としたり避けたりして先を進む。
しばらくして、ブレーカーがある部屋に辿り着いた。その部屋には科学班が作った謎の液体や物体が多々ある為なるべく近づきたくはなかったのだが、この際仕方ない。ブレーカーを見ると、確かに全ての電気が落ちていた。カチッと順を追って全てのスイッチを入れる。



「あれ?」



しかし、電気がつかない。どういうことだろう、とブレーカーを見ても全ての部屋に電気が行っていることが分かる。「んー…?」と困惑して顎に手を当てる。しかし、解決策には結び付かない。その時、私は思い出した。確か原作にこういう回があった気がする、いやあった。確かそれはバイオハザードみたいに皆がゾンビになるっていう回で……、ってことは私もゾンビになる可能性がある。



「っ……」



考えただけでもゾッとする。何か対策、対策はー……。辺りを見渡し、何かないかと科学班が作った作品達を見る。一つ一つ見て行き、ジョニーさんが作った物の左へと視線を向ける。「リーバー作」と書かれた紙が近くに置かれているそれを手に取り、じっと見る。
ハンドガン、マシンピストル、爆弾が数個、数えきれない程の針が入っている銃のローダー。何のために使うのだろうか。ふとハンドガンに小さく書かれている文字が見え、目を凝らして見る。



――睡眠針用



睡眠、どうしてリーバーさんがこれを……。ああ、そうか、コムイさんに使う為か。あの人も大変だなあ、と溜め息をつき、マシンピストルと数個ある爆弾に書かれている文字を読む。「睡眠針用」「睡眠弾」と書かれているから、これもハンドガン同様コムイさんに使う為に作られたのだろう。



「さて、出来るだけ足掻くか」



置いてあった銃のホルダーを腰に巻き、マシンピストル、睡眠弾、銃のローダーをホルダーに入れる。ハンドガンは利き手に持ち、もう片方の手はこの部屋のドアノブに。バイオの時の感覚を思い出して。バリーに教わったように、あの時戦ったように、落ち着いてやればきっと大丈夫。ドアノブを回し、ドアを開ける。ギィ、と静かに音を立てて廊下に出る。早速出てきた理性の失った医療班の仲間に、私は銃口を向けた。



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