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前回に引き続き、視点はこの俺、食満留三郎がお送ります。前回の坂田の言葉に、「全員でだと?」「随分とナメられたものだな」と俺を除く六年生達が殺気を出しまくる。殺意芽生えすぎじゃねぇか、とツッコミたかったが、この雰囲気じゃ言えねぇだろ。
「来いよ」
文次郎達の言葉を無視し、坂田がそう言った。そのことに更に腹を立てたのか、文次郎達が一斉に坂田へと走った。坂田はニヤリと木刀を持つだけで、先程のように構えることはしなかった。六年生が五人も相手してんだぞ。少しは緊張感持てよ。
――キィィィンッ!!! 「「「「!!?」」」」
たった一回横に木刀を振った。それだけで、文次郎達が吹き飛ばされた。そのことに俺は目を見張った。何が起きたのか、よく分からない。坂田が木刀を横に振り、それが文次郎達に当たり、全員が飛ばされた。おいおい、マジかよ……。
「悪ィな。お前等とは、くぐってきた戦の数が違ェんだ」
あのとき戦場で見た坂田よりもだいぶマシだが、今の坂田も鬼のようだ。俺、アイツに勝てる日あんのか……?
「じゃあな、楽しかったぜ」
坂田は片手をあげてそう言い、高杉に近寄った。そして、二人して赤い光に包まれ、次の瞬間には消えていた。ふと、倒れている文次郎達へと目を向ける。皆、悔しそうな表情をしている。……なあ、坂田。お前のおかげで、俺達はもっと強くなれそうだ。いつか、お前を倒す。 ――それまで待ってろ、白羅刹。
***
気が付けば、スナックお登勢の前に立っていた。隣には、先程居たはずの高杉が居ない。つまりは、私一人だけ立っているってことだ。ふと、「真白ッ!!?」と右から、懐かしい声が聞こえた。声のした方を向くと、焦った表情の兄さんの姿。その後ろには、泣きそうな表情の新八と神楽、定春とお妙。ああ、どうやら本当に帰ってこれたようだ。
「兄さん、新八、神楽、定春、お妙」
それぞれ、一人一人の顔を見ながら名前を呼ぶ。すると、みんな涙を流し始めた。そして、私に駆け寄って、ぎゅーっ、と抱きしめてくれる。人数が多いせいか、少し苦しい。でも、会えた喜びと嬉しさが込み上げてくる。
「テメェ、今まで何処行ってやがったッ!!」 「ずっとずっと、探してたんですからねっ……!!」 「もう、勝手に消えたら許さないアル!!」 「っくぅーん……!!」 「どれだけ心配させたら気が済むんですかあっ……!!」
皆、私の為に泣いてくれている。どれだけ心配かけたか、どれだけ苦労をかけたか。そんな事どうでもよくなって、ただただ、嬉しかった。私の為に動いてくれたことが、とても嬉しかったんだ。
「あーっ!! 坂田妹!!」 「チッ、やっと見つかったか」 「相変わらず無茶苦茶な人でさァ」 「いやあ、見つかって良かったですね!」
「全く、心配かけよって」 ≪終わり良ければ全て良し≫
「会いたかったわ我が妹ォォオ!!!」 「これで、万事屋は元通りだな」
「こんな事はこれっきりにしなんし」 「ほんとほんと。疲れちゃったよ、オイラ」 「ふふ、真白さんったら愛されてるわね」
ゴリラ、マヨラー、沖田君、山崎、ヅラ、エリー、さっちゃん、九兵衛、月詠、晴太、日輪。気が付けば、周りにはアイツ等が居た。口では悪く言っているけれど、どの表情も笑みを浮かべている。そのことが更に嬉しくて、私は自然を笑みを浮かべていた。
「――ただいま」 「「「「――おかえりっ!!!」」」」
今までの出来事は、きっと忘れることは無いだろう。
≪完≫
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