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「そ、その白い物……、見たことがなかったから、つい……」



照れくさそうにそう言う立花。言い終わるとプイッ、とそっぽを向いてしまった。……可愛いところあるじゃないの。少しキュンとしつつ、「人見知りだから顔隠してないと恥ずかしいんだ」と説明する。



「……可愛いんだからマスクつけなくて良いのに」
「きり丸、私がマスクとった時に初めて言った言葉なんだっけ?」
「えーっと、”ねずみに似てる”だったっけ?」
「そうだよソレ!! だからあんま取りたくないの」



「でも、可愛いって言ってくれて嬉しかったよ」と言って、きり丸の頭を撫でる。すると、きり丸が「へへっ」と照れくさそうに笑った。きり丸が可愛すぎて辛い。その時、「秋奈、」といきなり名前を呼ばれてびっくりした。私は声のした方を見る。そこには、先程学園長先生に許可を取りに行ってくれていた土井先生がいた。



「許可がおりた。今から荷物取り行くぞ」



土井先生の言葉に、私は「うん」返事をして立ち上がる。と同時に、きり丸も「俺も行く!!」と立ち上がった。その時、七松も「私も行くぞ!!」と言ったけれど、すぐに「お前は来なくていいッ!!!!」と言っておいた。




 ***




土井先生の長屋まで荷物を取りに来た。着物とか下着とか、その他諸々を風呂敷に包んだ。次にバイト先である、古着屋へと来た。バイトを初めて二週間くらいしか経っていなくて申し訳ないけど、”忍術学園に住む”ということを伝えなければならない。「弥生さん」と店の中にいる弥生さんに声をかけると、弥生さんは振り返って「秋奈ちゃん」と少し驚いた顔をした。



「あの、二人の勤務先に住むことになったので、バイトの方が、その……」
「来れなくなっちゃう、とか?」
「はい、すみません……」



申し訳なくて俯き加減になってしまう。しかし、弥生さんは私の頭を優しく撫でてくれた。顔を上げると、そこには笑顔の弥生さん。そして「秋奈ちゃんのことだから寂しくなっちゃったんでしょう?」と正に本当であることを言われてしまった。そのことに「その通りです、すみません……」ともう一度謝る。



「でも、あの、長期休暇のときはバイトしますからっ……!!」
「じゃあ、その時はお願いね」



微笑む弥生さん。その姿はまるで、菩薩様が微笑むようだった。私はその微笑みに見惚れてしまう。弥生さん大好き!!




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