親友が絡まれてます。 | ナノ

mission.09


「え、來海ってば男子テニス部のマネージャーになるの!!?」
「ああ。……そ、その、告白も……」



手塚が顔を真っ赤にさせている。それはつまり告白してOKを貰ってめでたくカレカノになったようだ。……わ、私の知らない間に一体何が起こったというの……。



「つか、そんな話聞いてないんだけど!!」
「ふふ、落ち着いて鬼月さん」
「落ち着いてられないよ!!」



放課後、手塚に呼び止められて何事かと話を聞いたところ、こんな状況になってしまった。驚きすぎる私を他クラスであり手塚と同じ男子テニス部の不二が綺麗な微笑みを浮かべながら宥める。けれど、それだけじゃ私の混乱はおさまらない。どういうことなの!!? 親友である私に何故一言もメールで言わないの來海!!?



「……俺は、今死んでも良い気分だ……」
「キモいよ、手塚」
「なっ……」



いつも無表情の手塚がうっとりしながら頬を赤く染める為、私は思わず冷めた目で手塚を見てしまった。手塚は私の言葉にガーンとショックを受け、それを菊丸が「まあまあ」と苦笑しながら慰めている。「そういえば今何時だろう」と携帯で時間を確かめると、もうすぐで午後四時半になるところだった。今日はディーノさんに「ツナの家に来てくれ」と言われた日だ。そろそろ行かないと間に合わないかな。



「私、そろそろ帰るわ。手塚、お幸せにっ!!」



「シュバッ!!」と口で言い、まるで忍のように走り去る私。我ながら馬鹿だ。こんなところスクアーロさんに見られたら馬鹿にされる。……後ろから手塚の「なんだアイツは」という声が聞こえたが無視だ。




 ***




――…ピンポーン
沢田家のインターホンを押してしらばく、中から「はーい」とおばさんが玄関を開けた。そして、私の顔を見ると「あら、志奈ちゃん、いらっしゃい」と笑みを浮かべる。私はその微笑みに癒されつつ「お邪魔します」と言い、途中でクッキーを買ったことを思い出し「これ、皆さんで食べてください」とクッキーが入った箱を渡す。



「まあまあ、ありがとう!! 來海ならツナの部屋にいるわよ」



「どうぞ」と家の中に入れてくれたおばさんに「有難う御座います」と軽く頭を下げて、靴を脱いで綱吉の部屋に向かう。階段を上がり、綱吉の部屋に着いた。私はそっとドアを開ける。



「お邪魔しますよーう!!」



元気よくそう言うと、部屋の中にいる來海、綱吉、獄寺君達が驚いた表情で私を見た。そして、真っ先に綱吉が「ええ!!? 志奈さん!!?」と声をあげる。そのことにニヒヒッと笑みを浮かべる。



「ちょ、なんで来たの!!?」
「”ディーノさん”に言われて」
「え、ディーノさん……?」



驚きながら聞く來海にそう言うと、來海は首を傾げながらとある方を見る。來海の視線を辿ると、そこにはディーノさんが笑顔で座っていた。私の視線に気づいたディーノさんは「おう」と片手を挙げて笑った。



「志奈、もうすぐで来るぜ!!」
「え? いったい誰g――」
――…ガチャ



意味有りげに言うディーノさんに私は首を傾げ、私が聞き終わる前に誰かが綱吉の部屋に入ってきた。綱吉の友達が来たなら私がドア付近に立っているのは迷惑かと思い、少しずれながらもドアの方へを顔を向ける。



「――…う゛お゛ぉい!! 跳ね馬ぁ、俺に何の用だぁ!!?」



………………え。



「す、スクアーロさん!!?」
「なっ……、志奈!!?」



綱吉の家に入ってきたのは、包帯ぐるぐる巻きのスクアーロさんだった。私もスクアーロさんも驚いた顔をする。綱吉たちは私達が顔見知りだったことに驚いているようだ。スクアーロさんは唖然としながら「なんで……」と呟く。私の耳にその言葉は聞こえてはいるものの、あえてその言葉には返事をせず、ニッコルスマイルで「お帰りなさい」と言う。……だが、感情には逆らえないようで、次から次へと涙が出てきてしまった。



「……っ……」
「お、おい……」



私が泣くのを見て、オドオドするスクアーロさん。私は服をぎゅっと掴み、震える声で「ディーノさんから聞きました」と言う。だが、スクアーロさんは何のことか分かっていないようで、オドオドしながらも首を傾げた。



「……ヴァリアー……」



私がそういうと、スクアーロさんは驚いた表情で固まる。その何秒か後にハッとして、ディーノさんをギロッ睨みつけた。普段の私ならその怖い顔をしているスクアーロさんに怯えるのだけれど、今はそんなことよりも伝えたいことがある。必死に息を整え、涙を堪える。



「初めて会った時からずっと、ずっとっ……、好きだったんですからっ……!!」



そう言って、私は「うあぁあん!!」と思いっきり泣く。小さい子の泣き方なのに、今はスクアーロさんのことで頭がいっぱいだ。ああ、でもどうしよう。こんな大勢の前で振られたら、一生立ち直れない。スクアーロさんは私の言葉を聞いて驚いた表情をするが、すぐにフッと微笑んだ。



「俺もだ、ばーか」



言葉は悪いくせに、言い方は優しい。そんな所にまでキュンとしつつも、泣きながらスクアーロさんを見上げる。スクアーロさんは、呆れたように苦笑しながら、私を優しく抱きしめてくれた…――。

≪完≫

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