とろける
 ずるりと、中で彼のが動いた気がした。それは僅かな動きだったけど、フリオニールにとっては過ぎる刺激らしく、身体をびくりと震わせた。

「んっ」

 体内の異物感に眉間に皺を寄せて大層辛い顔をしているであろう己を労るように、ウォーリアオブライトは時折優しく腰を動かす。それ以外にやる事といえば、フリオニールの髪に触れたり、唇を啄むぐらいだ。
 彼の触れ方は愛情に溢れていて、フリオニールは嬉しさに顔を綻ばせる。
 異物感が和らいできた頃に、フリオニールはシーツを握りしめていた手を解き、彼の首に腕を絡ませた。


 ウォーリアオブライトとフリオニールが身体を繋げる事は今夜が初めてだった。
 想い合って結ばれてから大分経っていたけど、幼い触れ合いや軽いキスだけで彼が満足していたようだったから、それらしい空気が二人の間で流れることはなかった。
 そんな彼と違い、フリオニールは本当はずっと前から抱き合いたいと密かに願っていた。でも、彼は綺麗でそんな様子を微塵も見せなかったから、肉欲的な自分が恥ずかしくていつも口を噤んでいた。

 しかし、彼に深く触れ合いたいという望みは溢れかえって、今夜ついに自分は彼を押し倒してしまった。

 ウォーリアオブライトも最初は少し驚いた顔をしていたが、情欲に潤む自分の瞳を見て全て解ったのか、彼は何も言わずに今まで交わすことのなかった深いくちづけをフリオニールに与えた。
 彼の舌が自分の咥内を侵して、捕食されているようだと、フリオニールはぼんやりと遠い意識の中で思った。
 フリオニールがそのキスに熱に酔っている内にウォーリアオブライトは体勢を反転させた。唇が離れ、唾液が跡を引く時には、押し倒していた筈のフリオニールはウォーリアオブライトに覆い被されていた。

「…随分と我慢させていたようだ」

 余裕な笑みでウォーリアオブライトがフリオニールの股間を撫で上げる。

「ぁ」

 キスだけで反応してしまっている自身のそれに気付いたフリオニールは、頬と耳を真っ赤に染めて顔を背けた。
 恥ずかしさできつくシーツを握りしめていたフリオニールの手の上に、ウォーリアオブライトは彼の白い手を上から重ねて、ゆっくりとその手を持ち上げキスをする。

「フリオニール、こちらを見てくれないか」

 低く囁くようなその声に誘われて見上げれば、そこには先程のフリオニールと同じ、情欲に潤み、ギラついた雄の目があった。
 掴まれた手の指先に舌を這わされ、感覚が痺れる。

「君を、抱いても良いのだろうか?」

 最初に押し倒したのはフリオニールなのだからそんな確認を取らなくても良いのに、彼は律儀に尋ねる。

「…良い、よ」

 答えなんて、悩まずとも自然に唇から出て来ていた。


 ウォーリアオブライトの首に腕を回すと、彼との距離は一気に縮まり、吐息が触れ合う程に二人は密着している。
 ほう、と吐息が満たされて零れた。

「…ウォーリア」
「ああ」
「なんか、夢、みたいだ」

 熱に浮かされたように言葉を途切れ途切れに呟く。

「フリオニール、これは夢ではない」
「解ってる。解ってるんだ、でも…」

 首に回した腕に力を込めて、もっと近くに、と訴えた。

「貴方がこんなに近くにいるのが、嬉しすぎて、不思議なんだ」

 唇が触れ合いそうなくらい近くでそう言えば、中にある彼のがまた大きくなる。

「あ、」
「なら、もっと近づいて確かめれば良い」

 ウォーリアオブライトはそう言うと、フリオニールの奥を力強く突き上げた。

「ぅあっ…ああっ!」
「っ…フリオニール」

 好きだ好きだ、愛しているという言葉を言おうとしても、自分の物でないような喘ぎ声がそれを遮る。

 その変わりに絡ませた指先は熱くて、とろけてしまいそうだと感じた。


10,10,17


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