愛しい体温

薄暗い部屋に、僕たちはいる。
明かりは朝焼けが昇る直前の、青い光だけだ。

今日は少し肌寒くて、キーはセミダブルベッドの端で羽根布団にくるまっていた。
髪の毛をそっと撫でてやる。柔らかく、まるで子猫のようだな、と思った。
すうすうと寝息を立てて、ぐっすりと眠っている。

キーの額にキスをして、僕もベッドに潜り込む。
ぎし、という音を立ててマットがたわんだ。
シーツからは、ほんのりとリネンウォーターが香る。少し冷たい。
ふわりと羽根布団が足に触れ、じんわりとキーの体温を感じた。

微睡(まどろみ)と、互いの体温が心地よく、そのまま消えてしまいそうだ。
と、僕は感じた。

「ん……。タロ?」
「あれ?キー起きちゃった?」
「ちょっと寒くて……。」

確かに、ただでさえ肌寒いのに、陽の昇る直前のこの時間帯は寒い気がした。

「待っててね」

僕はキーの頭を撫で、そばにあった毛布を布団の上からかけた。

「何か暖かいものを飲む?カフェオレ?ココア?」

キッチンに向かおうとした僕の服の裾を、キーの腕がつかんだ。

「一緒に二度寝しようよ。」

僕は「しょうがないなあ」と笑い、再びベッドに潜り込んだ。
そして、キーを抱きしめる。そこには愛しい体温があった。


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