A requiem to give to you- 緑の少年たち(1/8) -
カンッ、キンッと武器のぶつかる音、教官の叱責の声などが響き渡る修練場。任務のない兵士や訓練生が毎日のように集まり、それぞれ鍛練に励んでいた。
そんな騒がしい修練場の奥にある武器庫にレジウィーダ達はいた。
ガサゴソ……ズルッ
ガンッ ドカッ ピコピコ………
「よし、これにきーめたっ☆」
凄まじい音が聞こえ、収まると同時にレジウィーダは足下に転がってきた杖を手に取り高々と上げてそう言った。
「テメェ……何が『これに決めた』だこの馬鹿女がっ!!」
絞り出すようにそう言ったのは、散乱した武器に潰されていたグレイだった。
因みに今の流れは……レジウィーダが高い所にある武器の入った箱を漁っていた
↓
うっかり箱ごと落とした
↓
丁度下にいたグレイに当たり、散乱した
↓
トドメとばかりにレジウィーダがピコレインを放った
……と言う事だった。
「あ、いたんだ。ゴメーンネ☆」
「ぶっ殺すぞテメェ……それにお前今何した!?」
「? 何って棚の上の武器を探してたら手滑らせてアンタの上に落としちゃったんじゃん」
打ち所悪くて忘れちゃった?と、何だか聞き捨てならない事まで言っていたが取り敢えず流し、「その後だ」と言って彼の周りに落ちている幾つもの"ピコハン"の内の一つを拾い上げて彼女の前に突き出した。
「こんなン入ってなかっただろーが! しかもこんなにたくさん!」
そう言うとようやく合点がいったらしく、レジウィーダは思い出したようにポンッと手を叩いた。
「あぁ、それね! それ、術で出したんだよ」
「ああ知ってるよ! 譜術でこのオレにトドメを刺そうとしたンだよなコノヤロー!」
この世界にある音素【フォニム】と呼ばれる物質を用いた術。最近になって漸く会得出来たのは良いのだが、それと同時にどうにも何かと隙あらば攻撃してくるようになった。
しかしレジウィーダは首を横に振った。
「ううん、ちょっと違う。これは音素ってより、"マナ"を使った術だから」
「そっちかよ…………って、マナだと?」
「そうだよ」
「…………この世界そんなのあったっけ?」
暫し考え、そうレジウィーダに訊ねる。この世界に存在するエネルギーが音素だけだと思っていたからだ。いや、それ以前にこの娘は何故マナが使えるのだろうか。人間に扱う事は出来ない筈なのに……。
グレイの言いたい事がわかったのか、レジウィーダは得意気に笑った。
「フッフッフッ。実はだね、音素がマナの気配によく似ていたから、試しに"例の裏技(?)"を使ってみたらマナができちまったのだよ」
「マナができたぁ!? つーか、何でもアリだなその裏技よーオイ」
「おうともさ! これは主にエネルギーに関するやつだからな!」
声を荒げて驚いたグレイにガッツポーズで肯定する。
「後でディストから聞いたんだけど、マナって基本第六属性の音素の塊でもあるんだって。だから"例の裏技"と譜術を上手く応用して、"魔術"を完成させたわけ」
わかった?と、聞き返すレジウィーダにグレイは言葉が出なかった。
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