少しずつ……そう、少しずつ、近付いている。"開花の時"
何年もの間、その身体に眠り続けた力の目覚める時が……近付きつつある…………。*◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇
思わぬ大告白にレジウィーダの大絶叫が図書館中に響き渡った。
「な、な………な………………なんだってぇええええええええっ!?」
キーン
「喧しい奴だなー」
煩わしそうに耳を押さえながら言うトゥナロにレジウィーダは更に絶叫する。
「うるせーっ、アンタにあたしの気持ちがわかるかー! ぶっちゃけ今何言いたいかすらこちとらわからんわー!!」
どうやら物凄く混乱しているらしい。トゥナロとクリフは顔を見合わせると軽く噴き出して肩を竦めた。
「だから言っただろうが。オレはローレライの使者で、お前達をこの世界に呼んだって」
「そんなサラリと当たり前みたい言わんでくれます!?」
「当たり前も何も、そうなんだってば」
だから一先ず落ち着きなさい。はい、息を大きく吸ってー吐いてー…………っと、ほら落ち着いた。
「……で、取り敢えず何か聞きたい事はあるか?」
深呼吸をさせて何とか落ち着いたレジウィーダにトゥナロは近くにあったお菓子を差し出しながら問い掛けた。レジウィーダはお礼を言いつつそれを受け取ると一つ頬張り、それからゆっくりと口を開いた。
「……アンタの「はい却下ー」いや、まだ何も言ってないし!」
突然遮られた言葉に思わず突っ込む。しかしトゥナロは両手を上げて首を振った。
「オレ様やこのガキのプライベートなお話は今はナシ、だ。知りたきゃ夜にまたおいで」
「何言ってんのこのお馬鹿」
ゲシッ、とトゥナロの後頭部にクリフの蹴りが飛ぶ。それ以前にレジウィーダはそう言う意味で質問をした訳ではない。トゥナロはクリフの足を退かすと肩を竦めた。
「そうじゃなくて、もっと何かあるだろう? この世界に来た理由とか、仲間の安否とか」
その言葉にレジウィーダはハッとして彼の胸倉に掴みかかった。
「知ってるのか!? 二人の場所!!」
「正確な場所は知らん……が、この世界に無事でいる事は確かだな」
「そう、なんだ……」
スッと肩の力が抜けるのがわかった。しかしそんな彼女にトゥナロは直ぐに表情を引き締めた。
「だが………」
「……?」
「今、あいつらは目覚めの時を迎えている」
「目覚めの時?」
何だそれはと首を傾げるとそいつはニヤリと嫌な笑みを浮かべたのだった。
「お前も持ってるだろう? ………"特殊能力"」
「"例の裏技"のこと?」
「まぁ、それなんだが……なんつーネーミングだよ」
何故か呆れ気味に言われた言葉にレジウィーダはムッとする。
「仕方ないじゃんか。正式名なんて知らないんだから」
そう言うと今度は驚いたように目を見開いた。
「お前………そうか、そうだよな」
「な、なんだよ。さっきから何一人で納得したような顔してるんだよ!」
お前がこれじゃアレもよくわかってないだろうな、等と一人呟くトゥナロにレジウィーダは憤りを感じずには要られなかった。
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