A requiem to give to you
- 崩落編 -

【第78音以降】


レジウィーダ:あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど

トゥナロ:どうした?

レジウィーダ:さっきの料理の事なんだけど。トゥナロさんさ、味見をしたら失敗するって言ってたじゃん?

トゥナロ:ああ、まだダアトで勤務してた頃はメシマズの太鼓判を押された事もあるぞ

レジウィーダ:いや、不名誉すぎるでしょ

トゥナロ:けど、不味いだなんて言われた事がなかったから、逆に新鮮すぎて不思議と怒りは湧かなかったけどな。て言うか、オレ自身は別に不味いとは思ってなかったし

レジウィーダ:あ、やっぱりそうなんだ

トゥナロ:気付いたか?

レジウィーダ:気付いたって言うか、変だとは思ったよ。そもそも元(グレイ)が少食で甘い物が苦手なのに、スイーツだろうが何だろうがやたらめったら食べるって時点でおかしいし

トゥナロ:味覚が大人になった、で通じそうだけどな

レジウィーダ:限度を超えとるわ。……て言うか、味見をしないと成功するって事はさ、味の想像だけで料理してたって事でしょ。逆に言えば、舌で感じた味を頼ると失敗する。つまり、

トゥナロ:……そうだ。どうやらオレは他の奴らとは味の感じ方が違うらしい。だからオレが感じたままの味で作ると、実際の味と変わってしまうから不味くなる

レジウィーダ:でも、どの食材がどんな味かを知っているから、それを頼りに作れば問題はない……か

トゥナロ:珍しく冴えてるじゃないか

レジウィーダ:珍しくは余計だ。それよりも…………大丈夫?

トゥナロ:何が?

レジウィーダ:味覚とかもそうだけど、目とか髪とか、初めて見た時よりもドンドン不自然な変わり方してるからさ…………何かなったりとか、しないよね?

トゥナロ:…………馬鹿か。何を想像しているのかは知らねーが、大したことはないっての。どうせローレライの音素の影響だろうから、あまり深刻に取るな

レジウィーダ:なら、良いんだけど

トゥナロ:それより、あのライガはどこ行った?

レジウィーダ:ライガなら、さっきタリスと一緒に出かけたよ

トゥナロ:チッ、あまり遠くに行かれると戻るのが面倒臭いンだよ。……て、事でオレは行くからな

レジウィーダ:あ、ちょっと! …………行っちゃった















レジウィーダ:本当に大丈夫………だよね?

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