第一話

――ごめんなさい。ごめんなさい。


何で謝っているの?


――ごめんなさい。ごめんなさい。


ほら、謝らないの。


――ごめんなさい。ごめんなさい。


何か悪い事、した?


――ごめんなさい。ごめんなさい。


どうして謝るの?


――ごめんなさい。ごめんなさい。





「謝らないでって言ってるじゃない!!」


「僕がいつ謝ったか聞いていいかな。」



………はい?


「Bonjour.アリスさん。怒鳴り声さえなかったら最高の目覚めだったね。」


この子……誰?


「アリスさ」

「ごめん、ちょっとだけ時間ちょうだい。」


状況を整理してみよう。

私は夢を見ていた。
確か誰かが謝ってて、私が慰めようとしたのに止まらなかったから、ついかっとなって怒鳴ったところで目が覚めたのよね。

そして起きたら隣には男の子。
水色の綺麗な髪に小さな帽子を斜めに被ってる。シルクハット?服はタキシードってところかしら……ズボンは膝が隠れるくらいの長さだけど。顔だけ見たら女の子に見える…。もしかして私より可愛くない?



「ねぇ…。時間はもう良いの?」


「えっ!?あ、ああ!良いわよ!」


綺麗に整った顔を見てたら若干冷たい眼差しを向けられながら声を掛けられた。咄嗟だったから私の声が裏返ってる。

だってショックじゃない!?男の子が女である自分より可愛いのよ?見たくもなるわ。



「じゃあ……行こうか。」
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