・ちょっとそんなこと


諦めたらそこまでだと何処かの偉い人は言っていたけども、諦めた方がいいことも世の中にはあるんじゃないかって僕は君を見ていたら思う。

弱さを見せるのが怖いのは、きっと信頼しているから余計なんだと思う。というとおかしいな。私は君に理解されなかったらどうしようかと不安なだけなのだ。

どんな君でも好きだった。僕のこと好きじゃない君でも好きだった。君のこと誰よりも知りたいと思っていた。でも僕は誰よりも君のこと知ろうとはしなかった。だって、君はアイツが好きだから。

簡単に心変りがあるということ、軽蔑されるんじゃないかって、怖くて現状維持。こんなこと繰り返す日常こそ、軽蔑されるんだろうなって、自分を軽蔑した。泣けない。

どうしたんだ、と一言かけられずにいた。きっと君はアイツのことでなやんでいるんだって僕にはわかったから。

相談の一つもできなかった。知られたくなかった。こんな私の醜い感情。

もしも君が隠そうとしても、もしも僕が隠してほしいと、願っても、きっとそんなのダメだ。好きだからこそ、僕は君と向き合いたいと思った。

優しさに涙が流れた時。私は全てを打ち明けてしまった。あなたなら、わかってくれるような気がしたから。でも、話したからには、もう、私はあなたに…

言葉が見つからなくて強く抱きしめた。君の苦しみを僕はどうしてこんなにも避けていたのだろう。もっと早くこうして聞いてあげたらよかったのに。そうしたら、もっと君のためになれたはずなのに。

どうしてあなたが思い患うのかわからなかった。好きだからっていうあなたがわからなかった。わからなかった。でも私はあなたの手を握り返していた。

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