妊娠発覚

・現パロ
・文次郎×女体仙蔵

※妊娠してます、注意!





















さてどうしようか。今更どうしようもない。これを文次郎に言ったところで、起こってしまったことは仕方ないのだから。
今日は慣れない病院に行って、精神的に疲れてしまったようだ。ソファーに転がっているうちに、うとうとと眠りそうになる。すると5分ほど経った頃だろうか、リビングのドアが開く音がして、文次郎が入って来た。

「こんなとこで寝んなよ」
「…仕事は」
「終わった」

文次郎は冷蔵庫から水を取り出してコップに注ぐと、寄ってきて私の腕を引っ張った。まだ8時だ。力に逆らうことなく、渋々体を起こす。文次郎は空いたスペースに腰をおろすと、寛いだ様子でテレビをつけた。

一瞬ニュースが流れたが、私はリモコンを手に取ると、テレビのスイッチを消した。

「なんだよ」
「…」

少し驚いたように目を丸くした文次郎に、言いたいことがあるのに、次の言葉が出てこない。視線をさ迷わせてただ黙っていると、力を失っていた私の手が、ぎゅ、と握られた。

「ん?どうした」

文次郎は根気よく手を握ったまま私の言葉を待っているが、私はやっぱり何も言えず、しかしこの空気にも耐えきれずに「…何でもない」と呟いた。
すると文次郎は何を勘違いしたか、手を腰に回してきて顔を寄せてきた。慌てて自分の唇をガードしていると、ゴロンと広いソファーの上に転がされてしまった。

「やめろ。…違うんだ」
「何がどう違うって」

何から話せば良いのか分からない。私と文次郎のこと、昨日検査をしたこと、今日病院で言われたこと、これからのこと…。いっぱいいっぱいになってしまって、混乱して目が回りそうだ。
黙っているうちに文次郎がキスしようとしてきたのでとにかく顔を背けると、そのまま首筋に顔を埋めてきた。

「あほ!嫌だと言ってるだろう!」

文次郎は怯む様子もなく、服の下から手を侵入させようとしてきた。それを両手で掴んで抑えるが、ついに唇を塞がれると、もうどうしようもなくなってしまう。

「言う気にさせてやる」
「…!やめ…」

太股を撫でられてこのまま流されてしまったらどうなるのだろうと考え、本格的に焦る。行為に至って大丈夫なのか、悪影響はないのか、もし、お腹の赤ちゃんが死んだりするようなことになったら…………。
想像すると、情けなくもガタガタと体が震え出した。

「…仙蔵?」
「ごめん、謝る、から…!」
「おい!」

強く腕を掴まれて振り払おうとするが女の私がこいつに力で敵うはずもない。少しでも逃げようと体を離そうとしたところで「落ち着け!」という文次郎の一喝が響き、我に返った。
腕は掴まれたまま。体が強ばる。

「…もう何もしねぇよ」

溜め息を吐いて私の上から退いてくれた。「…ごめん」と言って体を起こすと、文次郎は何だかつまらなさそうに、机に置いてあったコップを手に取った。

「…昨日、急に吐き気がして、生理も遅れていたから…、まさかと思って検査薬を買ったんだ」

呆れられてしまうのが怖いと思ったら、口が勝手に今まで言い出せなかったことをスラスラと話し始めていた。

「陽性で…今日病院にも行ってきた。そしたら、妊娠してる、って…」
「ぶ…ッ!!」

それを言った途端、水を飲んでいた文次郎は、コップを口に当てたまま盛大に水を噴き出した。私は呆然とそれを見つめたが、すぐにハッとして洗面所からタオルと布巾を取って来て、そして盛大に噎せている文次郎にタオルを渡してやる。
どうやら水が気管に入ったようだ。

「ゲホッゲホッ!ごほっ!」
「何をしてるんだ、お前は…」

呆れて濡れた床と机を布巾で拭う。文次郎はタオルを口に当て、噎せてうっすらと涙を浮かべた目を見開いた。
その目は心なしか、キラキラと輝いているように見えた。

「ほ、本当に…!っ…!」
「こんなことで嘘ついてどうする」
「…お前…え、でも…ぺったんこ、だよな」
「あほ。5週目だぞ」
「…そうか…!」

慌てた様子で床に膝をつき「俺がやるから、座ってろ」と私の手からタオルを奪い取った文次郎の横顔が何だか凄く頼もしく見えて、既に父親の風格だと感じさせられた。




「文次郎っ」
「え、うおっ!」

思わずその首に腕を回し体重をかけて抱き付くと、後ろに倒れそうになりながらも、お腹の子ごと私をしっかりと抱きとめくれた。









end.









おまけ




ソファーで寄り添って座りながら。

「なぁ、産んでもいいか?」
「は、当たり前だろ!」
「…良かった」
「何言って…、…え…俺の子だよな?」
「当たり前だろう」
「あ…あぁ、そうだよな…!」
「…(こいつ…)」















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