「ずばり!あなたは今!年上の男性に恋をしているでしょう!」
リノアは目を見張った。
手相を見ながら、にやけた笑みを浮かべて言い放ったのは中学校からの親友。
「え…っ、うそ…っ、なんで…っ!セルフィ、いつの間に手相なんて覚えたの!?」
慌てふためく様子の少女に対し、親友…セルフィは頬杖をついて目を細める。
「見事にハマったね〜、リノアってば。」
リノアの黒く大きな瞳が数回瞬いた。
そこでようやく親友の言わんとすることが分かったリノアは頬を膨らませる。
「ひどーい!カマかけたのね!?」
「だーって全然言ってくれないんだもん。」
「……何を。」
「恋バナ。」
触らずとも頬が熱くなるのが分かった。
それと同時に心臓が煩く胸を叩き始める。
(知っててやったのか、この親友は。)
「好き、なんでしょ〜?」
見る見るうちに大人しくなったリノアの頭を軽く撫でたセルフィは周りの雑音に乗せて言う。
「レオンハートセンセのこと。」
見事な赤面に、噛みしめる唇、図星ですといわんばかりに睨み付ける眼。誰が見ても分かりやすい反応しかできない自分に、益々リノアの悔しさは募る。
「先生にひとめぼれ、だなんて…自分でも馬鹿だって分かってる!けど、」
(――でも。)
「好きになっちゃったんだよね?」
親友の言葉に少し躊躇して、ゆっくりとリノアは首を縦に降った。
認めたくなかったこの気持ちが、心になじんだ瞬間だった。
my heart
(嘘ついたって、きっとそれは無駄だから)
END