第一印象
例の二人が入ってくれることになって
早速ヒマワリ食堂に集合!とのことで楽しみだ。
外からは見て気になってはいたものの、なかなか女子一人で入れる感じでもないし、わざわざ友達に行こう!と誘うような雰囲気でもないし。と来たことがなかった。
お店に入ると、4人揃っていて後は関西組二人を待つだけか。なんて思いながら席に座る。
彼らはすぐやってきて、お店に入ると同時にトンくんと溝口くんをみて「あー!あの!」と騒いでいて
なんて賑やかな人達なんだろう。とその光景を眺めた。
「あ、ほんで昨日の娘もおるやん!やっぱカズの彼女なん?」とイチローくんが矢継ぎ早にまくし立てて
「彼女じゃねーよ。マネージャーだ。」とカズくんが言うと
「マネージャーもおんのか!?やば。めっちゃええやん!よろしく!」
「女の子ええなぁ。」
『あ、えと○です。よろしくお願いします。』
挨拶を交わして、お待ちかねの定食をいただいた。
『おいしかった、お腹いっぱいだ。』
「○、そんな食べたら太るで?」
とニヤニヤしながらいうイチローは本当にデリカシーがないと思う。
野球やってたって言ってたし、こう言う自信たっぷりで軽そうな感じが嫌いだ。
せっかく美味しさに浸ってたのに、なんてやつなんだ。
その二日後に、明日溝口の家でビデオみるから集合!とカズくんからいきなり連絡が来て焦った。
カズくんはいつも突発的なイメージだ。これは中々ついていくのは大変かもしれない。
当日は電車の時間を調べてくれて、これに乗っていこう!とカズくんがグループLINEにあげてくれて、何号車にのったー。と追加できたLINEを頼りに電車に乗る。
パッとイチローくんがニカッと笑って手を上げてくれたので、すぐ見つけられてホッとする。
まだ東京の電車にはなかなか慣れない。
電車の席は埋まっているけど、先に乗った5人はなんとか座れたようだが、分かれている。
カズハルトン組とイチロー弦組のどっちに行こうかなと思っていると
「○、こっち。」弦くんが来い来いと手招きしてくれたので、そっちの方に進む。
「○ここ。」
『え、でも。』
「女の子立たせとくん嫌やから、○座り。その代わり俺のバック持ってくれたら助かるわ。」
『いいの?』
「立たせといたらええねん。」
「イチローも立てや。」
『ふふ、ありがとう。』
弦くんはすごい優しい。とインプットして座る。目の前に立った彼からリュックを受け取って持っていた紙袋と一緒に膝の上で抱きかかえる。
うぇーい系だから、苦手な人種だろうと決めつけていたけど
話してみるといろいろ話を広げてくれるし面白い。
イチローくんは距離が近くて、言葉がちょっときついけどそんなに怖くないし
弦くんはイチローくんとフザケてるときは騒がしいけど、すごく優しい。
苦手とか決めつけてよくなかったな。と考えを改めた。
これからもっと仲良くなっていきたいな。と素直に笑顔が溢れた。
『す、すご。』
庭っていうか、庭園?
溝口くんは、いいとこの子っぽいよなぁ。とは思っていたけどほんとにご立派なお家だった。
一応親御さんにもし会うかもしれないし、悪印象はよくないよね?でも気合が入りすぎないように。と洋服は綺麗めな感じにしてみた。
綺麗めなブラウスをきて、黒のスキニーにした。
玄関で靴を脱ぐのも緊張するくらいの、お宅だ。
『あ!溝口くんこれ。』
「……気を使わなくていい。」
持ってきた紙袋をさっと溝口くんに差し出す。お家の方に直接渡したほうがいいのかな?
昨日急に連絡きたから、びっくりしてわざわざ百貨店に菓子折り買いに行ったのだ。
思ったよりも大きいお家だったし、買ってきてよかったぁ。と心の底から思った。
口に合うかわからないけど、百貨店のだし大丈夫だよね?手ぶらよりいいよね。
「え、○意外としっかりしてるんやな。」
『意外とってなに?』
「いや、○天然ちゃんなんかと思っとったわ。」
私に天然の要素あるっけ?本当にイチローは適当だな。
『溝口家に渡すようで買ってきたから、貰ってくれないと困るよ。』
「……わかった。わざわざすまない。」
とりあえず渡せたので一安心だ。
「わざわざ○偉いなぁ。」
『え、普通じゃないの?』
「うーん、どうなんだろ。」
あれ?ハルくんまで首を傾げている。まじか。
『友達の家とかはじめてだから、持っていったほうがいいのかなって思って……。』
「「……。」」
あ、やばい、これ私友達いないやつみたいに思われるんじゃ
「なんや○。友達いーひんの?寂しいやつやな。」
『友達いるもん!』
「わかってるで、○には俺らがおるもんな?」
くっ、わざとらしく頭を撫でながらそう言ってくるイチローくんにちょっとイラッとする。
勝手に人の頭を触るな。軽いヤツだな。
やっぱりうぇーいは苦手だ。
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