流されやすい智実さん

可哀相な智実さん
*100万hit企画アンケート7位作品
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目が覚めると知らない部屋で、俺が身につけている服は少々大きかった。
外も部屋もまだ暗いようだったし、後少し眠れるかと堅めの枕を引いてようやく異変に気付いた。

「ひっ!」

ガタガタと音を立ててベットからずり落ちた。
き、北村くん、が、き、北山?
き、北村君だ、そうだ、北村くんがベッドにいた。
そう、そうだ、そう言えばココは俺の部屋じゃない。
じゃぁ、たぶん、北村くんの部屋だ。

「ん、智実さん?」
「ふひっ」
「起きちゃったの?」

心臓が爆発しそうなぐらいバクバクと跳ねている。
今にも口から飛び出てしまいそうだ。

「あ、あ、あ・・・」
「今日休みでしょ?まだ寝てたら?」
「か、会社に、仕事残してて、それで」
「でもまだ夜中だよ?始発だって出てないって」
「う゛っ」
「ほら、おいで」

北村君の腕がひょいっと俺の身体を抱き上げtそのままベッドに戻す。

「は、離してくれ」
「どうして?さっきは俺の腕を寄せたじゃない」
「あれは、枕と間違えて、それで」
「じゃぁそう思えばいいよ」

そう言って北村君はまた眼を閉じた。
こうやってみれば子供らしい顔つきで、それこそ俺にだってこの歳ぐらいの息子がいてもおかしくはないのに。
・・・・・いや、おかしいな。
できちゃった結婚をした友達だってこんな歳の子はいない。
まぁ、そう。
なんとなく、北村君の顔が子供っぽくて。
今まで抱いていた恐怖とかそういうのが和らいだ気がしたのだ。



そして俺は今、なぜあの夜中に意地でも帰らなかったかと後悔している。

「ねぇ、智実さん。返事は?」

さっきから何度聞かれているのだろう。
俺はさっきからずっと黙っている。
人質?物質?は俺の服と俺の鞄。
とくに重要なものが入っているわけではないのだがせめてSuicaを返してほしい。
家に帰れない。

「あの、北村君は若いし、こんなおじさんじゃなくて」
「智実さんがいいんです」
「綺麗な女の子とか・・・ほら、今だったら、ごうこん?コンパ?とかあるし」
「興味ないです」
「あっアルバイト先にだって可愛い子とか」
「いません。お客さんにいます」
「ほら、その子で」
「今目の前にいます」

話が先に進まない。
いまどきの若い子って言うのはみんなこうなんだろうか。
俺の話なんて聞かないし、無理矢理に話を進める。

「・・・無理だ。俺は36歳で、もうそろそろ結婚とかも考えて行かなきゃいけないし」
「俺と結婚して下さい」
「この国では男女の結婚しか認められていない」
「養子縁組をするんです。俺が旦那になりたいところですけど、ソレは無理なので形式上は嫁でいいです」
「何の話だ・・・」
「智実さんは下じゃないですか。俺の嫁です」

しばらくしてからソレが昨晩の話であると気付いた。

「そ、それはいま、今関係ないだろう!」
「いいえ!関係あります!」
「ひっ」

いきなり大きな声を出さないでほしい。
苦手なんだ。

「俺は本当に智実さんが好きなんです!俺だって男の肛門に自分のペニスを挿入したいなんて思ったのは初めてですよ!」
「お、俺だって、そんなことをされたのは初めてだ!」
「本当に初めてだったんですね!俺すごくうれしいです!」
「ちょっ、は、話を聞いてくれ!」

飛びかかってくる大型犬みたいだ。
近付いてくる顔を必死になってよけながら話を聞くように促す。
顔を近づけたままで止まった北村君の目がギラギラしていてそっちが見れない。
元々人と目を合わせるのは苦手なんだ。

「北村君の気持ちはすごく嬉しい」
「だったら」
「でも受け入れるわけにはいかない。無理だ」
「そんなっ」
「いろいろ世話になっておいて申し訳ないが、俺には構わないでくれ」

悲しそうな顔をして北村君は俺に縋るがどう考えたって無理だ。
こんなおっさんのせいで彼の道を誤らせるわけにはいかない。
それに俺だって北村君と付き合うなんて考えられないんだ。
だって考えて見てくれ。
こんなに歳がはなれた若い子と俺はどうやって付き合うって言うんだ。
ましてや男だ。
結婚なんて考えても考えても遠い話だができるなら俺は女の子と結婚したい。
若い子が良いなんて考えはないけれど。
せめて離婚歴がない人が良い。

「じゃぁお願いがあるんだけど」
「な、なんだ」
「最後に1回だけ、ね?」

ほら、俺はいつだって冴えないんだ。



もう頭が痛かった。

「でな、もう、出ないからっ」
「智実さんだけ、出しすぎなんだよ」

自分だけ、何度目かわからない精液を吐き出す。
北村君は強引だ。
今だって最後だと有無を言わさなかった。
大きめの北村君の服は不本意ながら大分脱がしやすかったようで。
今はもう申し訳程度に首元に引っかかっているだけだ。
下は引っかかってすらいないのだからもう救えない。

「智実さんのアナルぐちゃぐちゃですよ?わかります?」
「ひっいいぃ!むり、いやっああぁ!」
「昨日もヤりましたもんね。とろとろです」
「う゛あっあああぁぁ!」

自分に重なっている北村君で自分の下半身は見えない。
でもペニスもアナルもどろどろなのはわかる。
それが自分の精液だってのもわかる。
自分の太腿に当たっているのが何かなんて考えたくもない。

「もう大丈夫ですよね?」
「やっあ、やめ、あ゛う゛っあ゛あ゛っ!」
「っ、はー・・・やっぱキツい」
「ぬ、抜いて、くる、苦しいぃ・・・」

どれだけ慣らされたところでこの圧迫感は変わるものではない。
内臓が押し上げられて口から出て来てしまいそう。
そもそも受け入れる器官ではないのに。
直腸に穴があいて死んだらどうするんだろう。
北村君は救急車を呼んでくれるんだろうか。

「や、も゛、やだあ゛ぁ!」
「智実さん、自分のペニス触ってみなよ」
「は、うぐっああぁっあっ」
「触ってないのに、勃起してるでしょ?」

自分の身体が何かにとりつかれて、それできっと自分の身体を操っているんだ。
そう思わないともう自分が嫌だった。
冴えない上に、こんな行為がクセにでもなったらどうなるんだろう。
会社でますます後ろ指を指されて笑われるに違いない。
外も歩けなくなる。

「は、あっあうっあぁん!」
「あ、ここ気持ちいいんだ?」
「や、ああぁん!いや、そこ、嫌だ!へんなるからぁ!」
「なってもいいよ?」
「ひうぅ!あっあんっあっあぁっあっ!」

ガクガクと揺すられる度に自分の身体が飛んで行きそうになる。
シーツを握っているのに指が滑ってうまくいかない。

「ねぇ、俺を掴んで?」
「嫌っだ!」
「ふーん?」
「あっああ゛あ゛!」

一層強く突かれて俺の指はシーツから剥がれた。
北村君はそれを見逃さない。
空を切った俺の腕を引いて更に腰を打ち付ける。
こんな性的な暴力、もうやめてほしかった。

「智実さん、可愛い」
「も、嫌だっ!はな、は、離してっう゛うぅ!」
「じゃぁ俺と付き合って?」
「それ、とはっ話が、ちがあ゛あ゛あ゛!」
「同じだよ?付き合ってる人に、俺はこんなに乱暴なことはしないもん」
「は、あっああっう゛!うぅ!」

俺にどうしろって言うんだ。
俺なんかと付き合って、後々困るのは北村君なのに。
こんな冴えない俺が相手だなんていい笑いものになる。
でもこのままじゃ本当に身体が裂けてしまいそうだ。
足なんて醜く跳ねて、肉が裂けて行きそう。
こんなに痛いのも、死ぬのも俺は嫌だった。

「どうする?」
「は、あぐっう゛う゛!む、無理い゛っあ゛あ゛あ゛ぁ・・・!」
「ちゃんと喋って?」
「あ゛っあっつ、つき、付き合うからあ゛あ゛あぁぁ!」
「あは、智実さん大好き」

我ながら、ものすごく意思が弱いと思った。
でもこの行為に耐えられなかったんだ。

「も、やめっやめて、言ったからっ」
「優しくしてあげるんだって」
「ひん!あ、あうっうああああぁぁ」
「気持ちいいでしょ?」

ぐずぐずとはこのことだ。
突かれると痛いし怖いのに、揺すられるとじわじわと腰のあたりが心地よい。
痛いほど引かれていた腕も離されて、ゆっくりと北村君の首に回される。
36歳の肉体はもう限界で関節が痛い。
でも今までみたいに痛いだけじゃないことに安心している。
顔面を舐めるようにキスをされて、そのまま口の奥へ舌が入ってくる。
窒息すると思ったら口が離れて、しばらくしたらまた窒息しそうになる。
いつだったか、窒息死が一番辛いって聞いたな。

「は、ンンッ!んあっんうううぅぅ・・・!」
「ははっ、イったんですか?」
「んは、あっああぁっんっ、もう、もっ」
「はいはい。中に出してあげますね。んっ」
「はふっあっああぁ・・・」

熱かったアナルがさらに熱くなった。

「もう、離してぇ」
「大丈夫ですよ。もう痛いことはしません」
「北村君は、約束守らないから嫌だ」
「そんなことはないですよ」

北村君は女の子だったらすぐ蕩けてしまいそうな笑い方をした。

「恋人には優しいんです」

でも生憎俺は男で、36歳のおっさんだった。
ただ少し、流されやすいだけの。




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