可哀想な智実さん

Present for 黒猫san.



身長が低い、顔も並み。
冴えない会社で冴えないデスクワーク。
窓際族の仲間入りをしてもう何年目だって話。
彼女がいるとか飲みに行くとかそんな浮ついた話もない36歳の夏。
昼は決まって会社近くのコンビニへ。
自炊するなんてテクニックを持ち合わせていない俺は今日も身体に悪そうなコンビニ弁当と対峙する。
最近メタボを気にし始めたからちょっと健康志向。
ただでさえ冴えない俺がメタボなんてなったらもう笑えないしさ。
結局冷やし中華と梅のおにぎりを手にとってレジへ。
最早顔なじみになってしまったコンビニでこの夏一番の事件が起きた。

「あの、彼氏とかいますか?」
「・・・・・いないですけども」
「あの、俺と付き合って下さい!好きなんです!」

まぶしいほどの笑顔に顔が引きつった。
いや、何の冗談だ?
笑えない、最悪。
最早こんなに若い男にまでからかわれるようになってしまった。
なんだ?
なんの罰ゲームだ?
俺になんかいったらお金でももらえるのか?
鼻息荒くしてる男の子に2千円を手渡して冷やし中華とおにぎりをもぎ取って俺は逃げた。
本当は1万円ぐらいあげた方が良かったのかもしれないけど俺の財布に2千円しかなかったんだ。
どんよりと重い空気のまま会社へ戻り休憩室の隅っこで冷やし中華を口に入れていく。
音を立てて食べたら若い女の子に汚いと言われそうで怖いからもそもそと。
きっとあそこでこちらを見ながら笑ってる女の子たちは俺を汚いとかキモイとか思ってるに違いない。
猫背だし声小さいしはやらない眼鏡だし。
この眼鏡も昔ははやっていたんだけどな・・・。
最近の眼鏡はお洒落すぎて俺には使えない。
今俺の前を通った若い社員は俺を笑ったに違いない。
冷やし中華にからしを入れられないのはそんなにおかしいことか。
昔からわさびとかからしとか嫌いなんだ。
もそもそと冷やしちゅうかを口に詰め込んでおにぎりも押し込む。
気がつけば昼休みも終わる前。
口うるさい上司に何か言われる前に休憩室を後にした。



自分の仕事だけを終わらせて帰ると周りに何を言われるかわからない。
時間内に自分の業務を終わらせて1時間だけ周りに合わせて他人の仕事で残業。
1日2時間までは残業代が出る。
それでもやっぱり早く帰りたいのだ。
同期はみんな転職、最早知り合いもいない。
周りにクスクス笑われているような気がする。
でも退職届を出す勇気もなくて、転職先が見つかる気もしないから辞めれないでいる。

「あっ!こんばんは!」

昼間のコンビニの彼が会社の前で待っていた。
なんだろうか。
やっぱり2千円じゃ少なすぎたのかもしれない。

「あの、今お金おろしてくるから」
「え?お金?っていうか昼間も払い過ぎだったから!これおつり!」
「あ、いやこれは、その」
「仕事終わりだよね?このあと時間ある?俺の家で飯食わない?」
「いや、あの、いい」
「やったね!昼間の返事も聞きたいしさー。あ、俺の家こっちこっち!」
「ちょ、あっうわわ」
「ははっ!どんくさ!鞄持ってあげるよ」

なんて人の話を聞かない人種なんだ!
OKではなくNOの返事をする前だったのに!
あぁどうしよう。
若い男の子に鞄も取られてどっかに連れて行かれる。
こういうときは110番しなきゃいけないのに携帯は鞄の中だ。
俺はきっとどっかの廃工場へ連れていかれて鉄パイプで殴られてキャッシュカードを取られるんだ。
取られるほどのお金も入っていないのに。
なんて思って肝を冷やしながら男に連れて行かれたのは廃工場ではなくアパート。
鉄パイプで殴られるのではなく温かいご飯が目の前に並んだ。
キャッシュカードも取られることはなく冷たい麦茶まで出てきた。

「コンビニバイトの俺が言うのもアレなんだけどコンビニご飯ばっかりじゃ身体に悪いよ。アンタたまに夜もうちに寄るでしょ?」
「でも料理は苦手で・・・」
「もう結構いい年でしょ?できなくて大丈夫なの?」

っていうか心配してもらわなくていいからそろそろ家に帰してほしい。
食べてと言われたから野菜炒めを口にする。
食べたら帰れるのかと思い、必死になって口に詰め込む。
あぁ・・・キャベツがたくさんすぎる。
そんな俺を見ながら若い男の子はにこにこと笑っていた。
きっとこの野菜炒めは毒かなんか入っていて俺死ぬのかも。
だからこんなに笑ってるのかも。

「ねぇ、おいしくない?そんな顔して食べて」
「おいしいです」
「そ、ならよかった。あ、名前まだ言ってないよね?俺北村啓二って言うの。啓二って呼んで」
「はい」
「ねぇねぇ、名前なんて言うの?」
「う、梅原」
「下は?」
「・・・」
「下の名前は?」
「・・・・・智実」
「ともみ?何それ、ちょー可愛いんだけど」

昔からのコンプレックスなのに。
あぁ笑われた。
最悪だ。
こんな若い子にまで馬鹿にされる名前を付けた親を恨んでやる。
嘘ですごめんなさい産んでくれてありがとうございます。
これ以上ここにいるわけにもいかないしとりあえずある程度のご飯は食べ終わった。

「ご、ごちそうさまでした。それじゃ」
「あ、待って待って。こぼしてる」
「ひっ!」
「あー・・・シャツシミになるかな?タレついちゃった」
「い、いい、や、安いからっ」
「脱いで。洗ってあげる」
「ちょっあの」

無理矢理シャツを剥かれてタンクトップにネクタイって言う格好。
は、恥ずかしすぎる。
あぁどうやって帰ったらいいんだろう。

「生シャツじゃないんだ。残念」
「返して」
「洗ってくるから待っててー」

北村君はそう言っていなくなった。
なんのつもりなんだどういうつもりなんだ俺殺されるのかも。
大人しくその場で、気分で正座で待っていたら北村君が帰ってきた。

「ねぇねぇ、それで昼間の返事なんだけど」
「あの、お、お金なら明日にでも」
「お金?いらないって。付き合ってほしいって話」
「何を?」
「俺と、一緒に、らぶらぶすんの」
「はあ・・・」
「だめ?俺結構しっかりしてるよ?セックスもうまい」

ドッキリカメラか何かか?
何の話をしてるんだかさっぱりわからない。
俺がセックスへたそうって言われてるのかな?
いやまぁあながち間違いでもないのが苦しい話って言うかセックス?!

「智実さん可愛いー。顔真っ赤」
「な、何の話を」
「智実さん見てるとちょー下半身にクる。ほら、もうギンギンなんだけど」
「や、何考えてるんだ!」
「無理矢理良くないって思ったんだけどなー。うちまで来たしコレはOKだよね?自分に気がある男の家に来たんだもん」

手を掴まれてゴリゴリとした北村君のペニスに当てられる。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!
俺にこんな難易度の高い事象の回避テクニックはない!
首にぶら下がっているネクタイをグイッと引かれて北村君の顔が目の前に。

「触るだけ、ね?痛いことしないから」

あぁ・・・絶対痛いことをされるんだ。



もうどれぐらい時間が立ったんだろう。
北村君はすでに何度か射精していて、自分の腹に精液で水たまりができている。
最初は自分の萎えて縮んでたペニスと一緒に北村君のペニスを扱いていただけだった。
恐怖から自分が射精することはなかったのに慣れてくるととんと御無沙汰だったこともありペニスは簡単に勃起してしまった。
こともあろうにアナルにまで指が入っていて、指も徐々に増えている。

「うっ、ううぅ・・・」
「可愛い。智実さんが可愛いから俺絶倫なんだけど」
「ひ!そこ、嫌だ、嫌嫌っ!」
「気持ち良くない?ちゃんと智実さんの為に勉強したんだけど」

経験したことがない感覚に頭が支配される。
どうしたらいいんだろう、どうしよう。
アナルで感じてるなんて変態じゃないか。
今年36になるおっさんのアナルに指なんか入れて北村君は何が楽しいんだ。
力を込めて北村君を押すのに北村君はびくともしないし、なのに俺の身体はどんどん力が抜けて行く。
嫌だ嫌だ。
こんなことしたくないのに。

「あー・・・痛いことしないって言ったんだけどなぁ」
「ふあっ」
「智実さんのせいだよ?可愛い過ぎるから止まんなくなっちゃった」
「あ、嘘、何して」
「痛かったらごめんね?」
「ひぎ、い゛っ痛っあ゛あ゛あぁぁ!!!」

北村君のペニスが俺のアナルに挿ってくる。
ゆっくりと、それでも確実に。
ほら痛いことされた、ほら痛いことされた。
もうこのまま身体が半分に裂けるに違いないんだ。
苦しい苦しい!
俺窒息するのかも。
もう上手く息できない痛い痛い。

「ゆっくり息吐いて、すーはーって」
「むい、いや、いたっいたいぃ」
「はぁ・・・でも全部挿ったよ?ほら」
「うぐっ」

身体を折り曲げられて、目の前に飛び込んできたのは結合部。
ぴっちり、そうぴっちりと俺のアナルに北村君のペニスがハマってる。
この光景だけで失神してしまいそうなのに、痛くて怖くて失神もできない。
いっそ気を失ったらどれだけ楽なんだろう。

「ンッぐっう゛ぅ、う゛」
「馴染んだかなー?どう?」
「ひっひぐ、うぅ!う゛ン゛っ」
「大丈夫そう?」

俺の身体を北村君は揺する。
抜いてとも上手くいえずに北村君の身体を必死に押し返す。

「腕首にまわして?そうそう、可愛いなぁ」
「ひぃ!いだ、いだいっやあっあがっ」
「慣れれば気持ちいいから。少し我慢して?俺動きたい」
「う゛う゛うぅ!うあ゛っあっい、や゛っあっ」

腕を首に回したかったわけじゃない。
抜いてほしいのに、怖い怖い。
遊園地のお化け屋敷よりも稲川順二の怪談よりも怖い。
アナルにペニスなんか挿れたり出したりしてたら直腸に穴があいちゃう。
腹の壁突き破って、下腹部から北村君のペニスが出てくる。

「あー・・・気持ちい。智実さんのいいとこ、今突いてあげるね?ペニスも扱いてあげる」
「ひいいぃぃ!やだ、いやあっあんっあうっ、うぅん!」
「っは、ちょー締まる」

ぐちゅぐちゅと音を立てながらアナルをかき混ぜられる。
怖くてたまらないのにそこをペニスが擦ると腰がじんじんする。
ペニスだって萎えてたのにまた元通り。
でも全然イける気がしない。

「いや、いやあぁっ!無理、むりぃ、くるひ、お腹痛いっ」
「俺イきそ。ね、中に出していい?いいよね?」
「中?はうぅ、うあっあっ奥、いた、嫌っう゛っう゛っ」
「やべ、出る」
「ひぎ、い゛や゛っああ゛あ゛・・・!」

腹が重たい。
じんじんする、痛い、中が熱い。
よくわからないまま行為が終わって、俺のペニスだけが萎えずにそのまま。
もうどうしたらいいのかわからない。

「緊張してイけなかった?ごめんね」
「ひぃん!や、やだ、汚いっ嫌!」
「ン゛じゅるっんっ・・・ンンッ」
「やだ、嫌、離して、はな、あっ嘘、嫌っでちゃ、でちゃっひいいぃぃ!」

北村君にペニスを口に含まれて数秒。
吸いだす様にずるずる吸われて俺はいとも簡単にイってしまった。
そして今気を失っちゃいけないって思うのに、思っているのに。
今更意識を失った。

「はー、ごちそうさま。ってか智実さん?おーい」
「う、うぅ・・・」
「あーあ。返事まだなのに。とりあえずお風呂に入れてあげよ」
「・・・」
「可愛い可愛い智実さん。後で返事は必ずしてね?」




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