どうして恋なんかしたんだ

目が覚めると昼過ぎだった。
時計を見てため息をつき、大学に行くことは諦めてまた布団に潜る。

「おはよ」
「何がおはようだ。目覚まし止めたのヤスだろ」
「急ぐ研究じゃないんだしいいじゃん」

ヤスが背中にぴったりとくっついた。
ケツにヤスのちんこがあたってる。
ついでにヤスの手が俺のちんこを触ってる。

「朝勃ちしてない」
「当たり前。昨日ヤりすぎた」
「まっちゃんのちんこさん寝てんのかもよ?起きてー」
「あっ、バカ!」

ヤスにちんこを揺すられて扱かれたら簡単に勃起した。
最悪だ。

「まっちゃん、突っ込んじゃダメ?」
「駄目」
「お願い、まっちゃん」
「い゛!ちょっいいなんて言ってないだろ!」
「前立腺マッサージしてあげるから」

こうなればヤスは止まらないし、何を言っても聞かない。
仕方がないと思い、片足をずらして少し背を丸める。
その行動に気分を良くしたヤスが嬉しそうに前立腺を弄りだす。
ヤスの前立腺マッサージは気持ちがいいから好きだ。

「はぁ、あっ、あぁー・・・」
「まっちゃんの前立腺、いつもコリコリしてる。セックスの我慢はよくないぞー」
「うるせっ、ン!」

ケツを弄られるのは久しぶりで、ヤスに弄られた俺のケツはすでにトロトロだ。
挿れると後が辛いんだけどなぁ。
やられてばかりも何だからと、手を伸ばして背中にあたるヤスのちんこに触れる。
・・・元気だな。
ヤスが俺の手にローションを垂らし、その手をちんこに誘導した。
俺は誘われるままローションの滑りを借りてヤスのちんこをしごいた。
うまく扱けないがヤスが何も言わないってことはそのままでってことだ。
何も言わないでも相手のことがわかるぐらいには身体を重ねてる。

「もう、平気?」
「ん、いい」
「腰上げて。力抜いてて」
「ふ、あ、うぁぁ・・・!」

ものすごい圧迫感を腹に感じた。
これに慣れることは一生ないだろう。

「はぁ・・・狭い・・・」
「苦し、ン」
「でも萎えてないよ」
「んっ、うっ、んうぅ」

ヤスが俺のちんこ扱き始めた。
ヤスの手が動くたびに背骨がギシギシ鳴ってる気がして、どうにも辛いのは無くならない。
それから、楽になるようにって思ってしてくれているのだろうが、この行為はどうもむず痒い。

「動いていい?」
「いい、よ」
「ありがと、まっちゃん」
「手加減しろよ」
「それは、わかんないっ」
「あ゛っ、ばかっあぁっ!」

ずるずるとちんこが抜けてまた奥へ。
ガツガツ揺さぶられて奥が熱くてたまらない。
喘ぎ声よりは呻き声が部屋に響く。

「あっ、ん・・んっんっう゛ぅ・・・」
「あとちょっと我慢して」
「んっ、う・・早くっあっ」
「ンンッ!」
「うあぁぁ!は、はぁ、んっ」

ずるりとヤスのちんこが抜けて、背中に熱いものが掛かる。
それが何なのかは確かめなくてもわかる。
しばらくして俺もヤスの手扱きでイった。
俺はヤスと違ってケツでイくどころかケツに挿れられたままじゃイけない。
多分ネコが向いてない。
でもヤスがタチやりたいなら俺はネコをする。
そんな調子で俺の童貞も処女もヤスが攫っていった。

「風呂入ってくる」
「俺も入りたい」
「2人は狭いだろ」
「どうせシャワーじゃん」

結局風呂に無理矢理2人で入って、もう狭いのなんの。
でも中洗うには誰かいた方が楽だ。
俺がヤスに中出ししたやつも掻き出して、俺はローション掻き出してもらって。
お互い少し勃ってしまったが、もうヤる気にはならなかった。

「ぐったりだな。生活リズム崩したかも」
「夏休みなんだから休めばいいじゃん」
「誰かが菌の培養しないと死ぬだろ」
「先輩がしてくれる」
「嫌味言われる」
「でも今日は早川が行く言ってたから平気だろ」

実家にも長いこと帰っていないし年末年始以外に帰るつもりもない。
だから気楽な俺は菌達の面倒を見てるのだ。
ヤスも祖父母両親共に実家にいるから俺に付き合って菌の世話をしている。

「のぼせる前にあがるか」
「コンビニ行こう。腹減らない?」
「減った」

シャワーを止めて適当に身体を拭いた。
くたびれたハーパンにTシャツ、それからビーサンで外に出る。
髪は濡れたままだがこの暑さですぐ乾きそうだ。
ヤスも俺の服に俺のサンダルで一緒に外に出た。

「カツサンドあるかなー」
「俺冷やし中華食べたい」
「冷やしたぬきのがうまいぞ」
「マジで?俺優柔不断なんだからそーゆーこと言うなよ」

コンビニでラスイチのカツサンドと天丼、それから野菜ジュースをカゴに入れる。
甘いものも食べたくてエクレアとシュークリームもカゴに入れた。
これだけ買っても足りない気がして、カップめんコーナーで何かないかと突っ立っていたら急にカゴが重くなる。
カゴの中を見れば冷やし中華と冷やしたぬきとエクレアとシュークリームが追加されていた。

「似たようなの買ってんなよ」
「エクレアとシュークリーム選べなくてさ」
「俺も」
「まっちゃんラーメンも買うの?」
「腹減りすぎてどれぐらい食えるかわからん」
「俺みそもやしー」
「じゃあ俺とんこつ」

カップめん買ったらチャーハン食いたくなり、またお弁当コーナーに移動をする。
チャーハンは1つしか残ってなかったが、ヤスと分けて食えばいい。
レジに並んでいる間にホットスナックのチキンも食べたくなり、それも2つ追加で買ってしまった。

「さすがに買いすぎたな」
「カップめんは夜食べようぜ」
「・・・お前帰る気ないだろ」
「また泊めて」

家に帰り着くまでにホットスナックのチキンはぺろりと平らげた。
濡れていた髪はさっぱりと乾き、額に汗が浮かんだ頃にようやく家に着く。
ひんやりとした室内に入り、クーラーを入れっぱなしで外に出てよかったと思った。

「飲み物、お茶でいい?」
「いいよー」

冷蔵庫にエクレアとシュークリームをしまい、ついでにお茶も出した。
カップラーメンは夜に食べるって話だったから、チャーハンも冷蔵庫へしまう。
テーブルには先ほど買ったお弁当類が並び、ヤスが丁寧に蓋を開けていた。
ヤスから箸を受け取り、コンビニで温めてもらった天丼にがっつく。

「まっちゃん、冷やし中華食べる?」
「食べる。カツサンド1つやるよ」
「ラッキー」

カツサンドのフィルムを開け、ヤスの口にカツサンドを押し込む。

「あ、ヤス」
「ん?」
「夜の話。どうする?俺と付き合う?」
「どうしようか」

ヤスもどうしようかと考えているらしい。
別に急く話でもない。
結局のところ今更な話なのだ。
付き合っても俺とヤスの関係が変わるわけじゃない。

「じゃあ付き合ってよ」
「うん。これからよろしく」
「よろしく。記念日は毎月一緒に過ごそうぜ」
「いいけど・・・なんか意外。テキトーにしてんのかと思った」

意外に真面目だったんだな。
いや周りのゲイカップルがどんなものか知らないが、意外と普通のことをするんだな。
俺は1ヶ月記念日とかにヤスに何か買うべきなのか?
自慢じゃないが俺には恋人がいたことはないからその辺の普通という知識もさっぱりだ。

「これでまっちゃんのはじめては全部俺だ」
「オイ、付き合いたくなくなることを言うなよ」
「あぁ、キスだけ違うか」
「ソレは言うな」

苦しいだけの恋愛感情は捨てたんだ。
もう何も残ってはいない。
もう夢にも見ない。
もう、もう何年も前の話だ。

「アレは事故だ」
「じゃあ事故じゃないのは俺がはじめてだ」
「ハアァ・・・俺の純情が」
「からかったら気絶するから面白くて、つい」
「つい、で全部持ってかれた俺の身になれ」
「結果オーライ、だろ?」
「まぁ・・・」

俺が自分の性癖を認められたのも気絶しなくなったのもヤスのおかげだ。
そこは感謝している。
本当にヤスはいい奴で特別なんだ。
だがカツサンド2つ目は別の話だ。

「冷やし中華食えよ!カツサンドは俺の!」
「恋人につめたーい」
「お前と俺で何が変わると思ってんだ。ほら、天丼のピーマンやるから」
「お前が嫌いだからだろ!」

ヤスは文句を言いながらピーマンを食べる。
だからお返しに冷やし中華の紅生姜は俺が食べてやった。

「あぁ・・・腰痛くなってきた」
「薬塗る?」
「ケツ切れてた?」
「いや、血は出てなかったけど」
「じゃあ腰が重いだけだ。ヤス平気なの?」
「まっちゃんが激しくしたからボラギノール塗らなきゃー」
「へー。塗ってやるよ」
「マジで?塗らせるよ?拭くけど」
「平気なんじゃねぇか!」

人のことをおちょくりやがって、絶対面白がっている。
俺は残りの天丼をかきこむように口に詰め、野菜ジュースで流し込んだ。
飯を食いながらくだらない話をして、それから食い終わったらすぐに冷たい床に寝そべった。
消化に悪いのもわかっているが、腰が痛くて座ってることがダルい。

「まっちゃんデブるぜ」
「腰痛い」
「早く慣れろよなー」
「俺、絶対ネコ向いてない」
「わかってる」
「じゃあ今後俺がタチで」
「それでも俺たまにはまっちゃんに突っ込みたい」
「そうかよ・・・。つか重い、乗るな」

ヤスの上半身が俺の背に乗る。
それから俺の手にヤスの手が重なった。

「甘えたい盛りか?気持ち悪いな」
「恋人っぽいだろ?」
「お前の恋人と別れた時と酔っ払ってる時はいつもこんなんだぞ」
「よし、まっちゃんはまずムードを大切にすることから学ぼうか」
「じゃぁ・・・とりあえずクーラーの温度下げて」
「不合格!」

及第点ももらえなかった。




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