勿忘草



叶うことのないこの気持ち

消すことできないこの記憶

繋がることないこの想い

決して届かない流す涙は



ビビ様、と控えめなペルの声がする。そして初めて、私は自分の頬に伝う生温さに気付いた。
手配書が諸国に出回るほどのことをした、黒髪の少年を思い浮かべる。

ほら、こんなに鮮明に思い出せるわ。
しなやかさも、力強さも強引ささえも、こんなに鮮明に思い出せるのに。

あなたの中では、私はもう過去の人間なんでしょう。
前へ前へ進むあなたは、決して後ろを振り向かないし、振り向くべきではない。解っているのに、どうしてこのとびきりの笑顔を見ると涙が出るのかしら。

ねぇ、ナミさん。ルフィさんは前を見てる?
ねぇ、サンジさん。ルフィさんはお腹いっぱい食べてる?
ねぇ、ウソップさん。ルフィさんは走り回ってる?
ねぇ、トニーくん。ルフィさんは怪我なんてしていない?
ねぇ。
ねぇ、Mr.ブシドー。
ルフィさんは、キャプテンは、笑ってる?幸せかしら?

違う国で違う景色違う海、違う空を見上げているけど、全ては繋がっているから。
私は今も此処であなたたちを待っている、なんて。
そんな寝言、今だけ、今だけだから、聞き逃してくれないかしら。


―――――――

ビビ→ルフィ(=麦藁一味)
ちゃんとペルとかコーザとか出てくる構想でしたが、最後のこの場面が先に頭にできちゃって、敢えて断念。
だってビビ王女ったら、ルフィルフィ言い過ぎだわ(´ヘ`;)



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2009/11/17 20:19

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