長編 | ナノ


11.三度の飯より大切なのも飯


先の戦で傷ついた兵たちも回復し日常を取り戻したころ。



何やら城門の方から、只者でない気配がする。しかもなにやら騒がしい。
殺気は感じないので心配なさそうだが、様子を見に行くことにした。



「真田幸村ァ!俺だ!いるんだろ!おい門番、ここ通せよ。」



「申し訳ございませんが、伊達殿、勝手にお通しするわけにはいかないのです。」



「Ah〜?ごちゃごちゃうるせェな。」



右目に眼帯。それに、伊達って…もしかして独眼竜か?
困り果てている門番がかわいそうになってきたし、降りてみるか。



「幸村様に何か御用でしょうか。」



「真田の忍のモンか。初めて見る顔だな。俺ァ真田幸村に会いに来た。伊達政宗が来たと伝えてくれ。」



やっぱり伊達政宗か。
……なんか隣にめちゃくちゃ怖い人いるぞ。もしかしてこの怖い人が右目だろうか。



「突然押しかけて済まねえな。政宗様が遊びに来たと伝えてもらえるか。」



……遊びに来たってなんだよ。幸村様と独眼竜ってそんなに仲良しなのか。



「うわ、独眼竜。」



長がどこからともなく姿を現した。
生暖かい、憐れみさえ含んでいるような眼で独眼竜に目を向けている。
……心底嫌い、という気持ちが伝わって来た。



「おい猿!なんだよその眼は。」



「また来たのかよー…。もう勘弁して。」



「済まねえ、猿飛。政宗様がまたどうしても遊びに行きたいとおっしゃってな。ほら、今回も土産だ。」



なにやらネギやらゴボウやら、馬に積まれた大量の野菜を指す、右目と思しき怖い人。



「あら〜!右目の旦那ってばわかってるじゃん!おたくも大変でしょ?…こんなのが主で。」



なんだこれ。保護者同士の会話だ。
長のオカンっぽさが心なしかいつもより生き生きしている。



「政宗殿!!!」



「おう、真田。遊びに来たぜ。」



だから、ドヤ顔で遊びに来たってなんだよ。







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