繋がる空
14
多くの人が行き交う大通り。
そのど真ん中で獄寺は大きく息を吸い、吐き出した。
「十代目ェェェェェ!!!」
獄寺の奇行に、周囲に居た人間は思わずといった様に一瞬立ち止まる。そしてまたすぐに歩き出すが、視線は依然として獄寺に突き刺さったままだった。
「お、おい獄寺…」
これには流石の山本も顔をひきつらせた。ただでさえ自分達は制服姿という事で目立っているのだ。加えて大声で叫び出すなど、ただの変人だ。
「ツナは別行動だったんだろ?なら多分この近くには居ねーって」
宥める様にそう言えば、獄寺は若干血走っている目をカッと見開いた。山本は思わず引いた。
「テメェと合流したせいでな!クッ!やはり十代目のお側を離れるんじゃなかった…!十代目…ご無事だろうか…」
頭を抱えてしゃがみこむ獄寺と対照的に、山本は苦笑しながら頭を掻いた。獄寺は綱吉のことで頭が一杯の様だが、はっきり言って自分達の状況も結構危うい。
山本は改めて周囲を見回してみた。
突然光に包まれたと思えば辿り着いたこの場所。並盛ではまず見ることのない石畳の大通りや、建ち並ぶ西洋の街並み。並盛どころか、日本の何処にもこんな場所は無いはずだ。更には周囲を行き交う人々。彼らの服は、まるで近代的ではない。まるでひと昔前にタイムトリップでもしてしまったかのようだ。
「どうすっかな…」
そうぼやいた時だった。
―――ギャアアアアアアア!!
突如聴こえてきた絶叫、そして破壊音。獄寺も山本も、素早く身構えた。互いに顔を見合わせると、未だ破壊音と悲鳴が聴こえてくる方に向けて走り出す。
「一体どうなってんだ?」
「知るか!」
パニックに陥って我先にと押し寄せてくる人々の並に逆らって進む。
広場の様な場所にたどり着き、惨状を目の当たりにした二人は絶句した。
あちらこちらに残る血痕や遺体。何故か撃ち抜かれた服だけが残っているうすら寒くなる様な光景。そして未だ逃げ惑う人々に発砲し続けているのは…
「何だ、ありゃ」
思わず獄寺がそう漏らす。
それほど迄に目の前で人々を襲うソレは、異様な姿だった。数えきれない程の銃口を突き出しているボール状のもの。人によく似た形を取っていても、明らかに異形であるもの。今まで一度も見たことのないそれらに立ち尽くした二人だったが、人々の悲鳴に我に返った。
山本が無言で背中に背負った部活用のバックから、バットではなく時雨金時を取り出す。それを見た獄寺は仕方ねぇとばかりに溜め息を吐いた後、一歩踏み出した。
「十代目もいらっしゃらねぇし、状況も全く分からねぇが…」
「ツナならこんな時、必ず助けようとする…よな?」
山本がニカッと笑う。それにケッと返した獄寺が瓜を出そうとバックルに手を伸ばした。その表情が凍り付き、徐々に青ざめていく。
「どうした?獄寺」
「ボ…ボンゴレギアが、無い…!」