サエ剣
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※あいを、あいをの続き





くらりと目眩がした。


恋をするあの人に、
あの人の恋に、



くらりとめまい。




「好きだよ剣太郎」




まっすぐに僕を見つめて告白してくるあの人に。






心臓がばくばくとうるさい。いま、この場所には僕とサエさんしかいない。昼休みの校舎裏。たまたま会って他愛ない話をしていたはずなのに。なんで、僕は告白されているんだろう。


サエさんはと言うと、言ってからしまったという顔をする。なんなのさその顔、自分で言ったくせに。



「ごめん、忘れて」
「え、えっと、」
「なんか口から出ただけだから。ぽぴっと」
「ぽぴっ!!?ぽぴってどんな効果音?!?!」



サエさんは否定しながらも珍しく動揺しているのが僕でも分かった。そのぽぴっと出た言葉に掻き乱されてるこの胸はなんなんだろう。



「あーでも、まぁいいや」



サエさんが困ったように笑いながら言った。その顔は笑ってるのにどこか泣きだしそうな切なさが伝わってくる。




「剣太郎、好きだよ。本当は困らせると思って言うつもりなかったけど、」




すきなんだ、とサエさんはまたつぶやく。

   

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