私の不幸体質は産まれた時…つまり、この世に誕生した日から備わっていたのだそうな。
始めは何度か治そうと幼いながらも頑張っていたという時期もあった。しかし、やはり神が決めたことに逆らえないとでも言うべきか。私の面倒という度を当の昔に過ぎている体質は今だに一度たりとも“治った”と思えなかった。
「あー…、疲れたー」
今日も今日とて不運だった私は先生とバッタリ帰り道に出会ってしまい、手伝いを任せられてしまった。とは言っても先生が持っていた荷物を運ぶだけだったのだが、それでも量が凄く、普通、女子に頼む量か!?と疑いたくなるくらいの強敵だった。地味だが死ぬかと思ったほど。
…とか何とか考えていると、前方に知り合いを発見。
「木ノ瀬くん!」
「高倉先輩…って、何か疲れてます?」
「あぁ…まあ、通常運転だね。うん」
「……大変ですね」
ふぅ、と呆れたように溜め息を吐き出す木ノ瀬くん。…いや、この子のこの先輩への態度は何なの。月子との凄い差が!!
その後、木ノ瀬くんが送っていってくれると言ってくれ、私達二人は歩きだした。
「あの先生、人使いが荒いんだよ〜…肩痛い」
「老化ですか?」
「疲労です」
「ああ、ならまだいけますよ」なんてさして興味も無く棒読みで言ってくる木ノ瀬くんに猛講義をしたいところだが、この天才ルーキーは頭や運動神経だけでなく口も良く動くので敵わない。ああ、この子何で私には毒舌なの。
そんなことを考えながら一歩踏み出した瞬間、何故か何も無いところで足が縺れ、私の体は前のめりに倒れていきそうになった――……が。
「………、…ッ!!??」
トンッと軽く地面を踏んだ音がしたかと思えば、私の体は別に地面に倒れ込むわけでもなく、膝もつくことなかった。
――なんだこれは。
私は今までに、何かに躓いて転ぶ手前で転ぶのを自力で止めるなんてことを出来たことがなかった。それはもう不幸というニ文字が巻き起こす出来事なのだ。…なのに。
「先輩、大丈夫ですか!?」
「………も、」
「え?」
「…不幸体質、治った…かも…?」
やばい、嬉しすぎて涙が出てきそうだ。木ノ瀬くんは「はあ…?」と何とも状況理解に苦しんでいるかのような声を出してきたが関係ない。
治ったのだ。
私を数十年間苦しめさせてきた体質が。
もうこれからは普通に暮らしていける…
大好きな星を沢山勉強出来る……!!!
――ああ、なんて夢みてた世界なんだ。
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