ただいま華子さん
2011/11/24 02:13

妖怪アパート×地獄堂ネタ。
妖怪アパートメンバーに管理人をつっこんでみた。
妖アパを知らなかったら、わかりにくい。



<夕士視点>

バターンッ!


かなりの勢いで開いたアパートの扉。
その前に肩で息をしながら立っていたのは白藤だった。


白藤ミレイ。

俺よりちょっと後に妖怪アパートに来た、俺と同い年の女の子。
アパートで初めて幽霊を見たときは『あー、やっぱりいるんだねー』と軽く流した、俺から見れば凄い子。
おなじアパートで過ごすうちに、ちょっと変わってる面も見せるようになったけど。

良く見れば頬が赤い。
走って帰ってきたんだろう。


「ミレイちゃんお帰り〜。」

「やけに威勢がいいな、ミレイ。」

「おかえり、白藤。」


上から順に詩人、画家、俺。
俺ら三人を見渡している白藤の目には涙が溜まっていた。
変わったことをすることはあっても決して涙は見せなかった白藤。
白藤の涙を目の前にして、俺はもちろん詩人や画家までたじろいだ。
その白藤が言った言葉。


『ちょっと聞いてよ皆!龍さんってばすっごくヘタレだったの!』


はい?
龍さんってあの龍さん?
長髪黒髪、そのしなやかな体躯を黒い服に包み、さながらファッション誌から抜け出したような龍さん。
俺にいろんな言葉をくれた龍さん。
きっといろんな経験をして、"等身大"のかっこいい人間(多分)である龍さん。
その龍さんが、ヘタレ?


「面白そうじゃねぇか。詳しく話せよ。」

「アタシも興味あるね〜、あの龍さんのヘタレな話。」


そう言って酒瓶を抱える大人二人。
絶対酒の肴にするつもりだ!
けれど俺だって興味が無いかといえばうそになる。


「白藤、俺も聞きたい。」


俺ら三人に促されて、白藤はすこしずつ話し始めた。
本名は藤倉蒼龍ということ。
じつは49歳だということ。
左肩の長ドスでつけられたような傷は霊刀"かまいたち"でつけられたということ。
そして何より衝撃的だったのが、小学5年生にめっためたに言い負かされているということ。


『三人悪って言ってね、地元のいたずら三人組みたいな子達なんだけど実は術士で、だから龍さんと知り合ったんだって。そのうちの賢い参謀役みたいな子がさ、論理的に皮肉たっぷりに龍さんを言い負かすの。あとの二人もとんでもなく低レベルな暴言で龍さんに畳み掛けるの。』


衝撃的だった。
名前とか年齢とかもだけど、何より小学5年生に言い負かされるということが。


「ぎゃははははは、あの龍さんが!」

「へ〜、今度その子たちに会って見たいね〜。」


半ば呆然とする俺を余所に大人二人はがばがば酒を飲んでいたけど。
話も一段落したな、と思ったら長谷がクリを抱いて降りてきた。


「あ、白藤。邪魔してるぜ。」


白藤の前では本性を隠さない長谷。
以前白藤に"仮面被ってるでしょ"と言われてからだ。


『長谷君、いいところに!私に正しい自棄酒のしかたを教えて!』

「いいぜ。」

「おい!白藤はまず落ち着け。んで長谷はそう簡単にOK出すな!」

「ミレイちゃんこっちおいで〜、一緒に飲もうよ!」

「ミレイ、来るなら酌もしろよ。」


確かに現実逃避したくなる。
だが酒は駄目だ。
俺も白藤もまだ高2だし。
スーパー社会人であるおやっさんからスーパーウルトラ社会人になるべくいろいろ教え込まれてる長谷は未成年ながらも酒を知っている。
自分で感情に任せて酒を浴びるより長谷に教えてもらう方がいいだろう。

と思案している俺を放置で酒が用意されて肴や水もそろっていく。
詩人も画家も乗り気だし、長谷も止める様子が無い。


「あー、もう俺は知らない!明日も修行があるから俺は寝る!」

「おう、おやすみ!」

「おやすみ夕士君、行水がんばってね〜。」

「あとでクリとシロと行くからな。」

『ゆっくり休んでね、おやすみー!』


そう言った白藤の頬は既に赤かった。
くそう、一人だけ現実逃避しやがって。
俺だって出来ればあの中に加わりたい。
けれど、明日の朝起きれないのは困る。
そう思って俺は寝た


***


早朝、まだ誰も起きてないような時間に起きる。
他に起きてるのは朝ごはんの仕込みをするるり子さんぐらいだ。(るり子さんが寝るかどうかは別問題)
いつも通りるり子さんに挨拶してから滝に向かおうと食堂にいったら白藤がいた。(大人衆は地面に転がっていた、人間じゃないのと一緒に)


「白藤?」

『あ、おはよう稲葉君。』

「え、なんで起きてるの?」

『あは、昨日の夜私はすぐ落ちちゃったらしくてさ。お水もたくさん飲んでたからアルコールも抜けて朝置きたの。』


白藤は俺と同じくらいに起きる。
いつか自分で料理する必要があるときのために、今からるり子さんの技を盗むためだ。
ちなみに朝なのは、昼は学校・夜はというスケジュールで白藤が動いているから。
そんな白藤のためにるり子さんはお弁当を毎朝二つ作る。
昼と夜の分だ。

未だ驚きから抜けない俺に白藤はお決まりの言葉をかけた。


『今日も修行頑張ってね。』

「・・・ああ、行ってくる!」


毎朝かけられる言葉を聞いて、今からの行水を思い出して身が引き締まる。
それがいつも通りの、俺の朝。


_____

妖アパの龍さんと地獄堂の蒼龍が実は同一人物?!という疑問からの派生。
書いてて思ったのは、詩人って一人称なんだっけ?←おい
あ、白藤はお酒なんてお正月のお屠蘇しか飲んだこと無いので想像です。

実はいつか妖アパと地獄堂のジャンルを追加予定。

こんなくだらない、何が目的かも分からないものにお付き合いいただきありがとうございました!





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