【2021年 5月10日】


 頭のおかしくなった兵部を引き取ることになった。

 ボケたわけではないらしい。どうも、精神が幼くなった上に記憶が吹っ飛んだ、って感じだそうで。
 それがどうして僕の所へ来たのかというと、なんと、不二子さんの遺言だったそうだ。兵部がこうなることを見越した上で、何故か理由も言わずに僕へ預けるように、との命が下されたのだとか。
 そして、その言葉の通りに兵部は彼女を看取って一晩明けた後には、頭が空っぽになっていたのだと。

 管理官も妙な事を言ってくださったものだ。一番適当であったパンドラでも無く、お互いを嫌い合っていたこの僕に、彼の最後を任せるとは。しかもパンドラの彼ら自体もそれを認めているって。僕なんかが看取っていいものなのかねえ。

 まあ、いい。丁度あの子たちとも別に暮らすようになって、手持ち無沙汰だったのだ。彼の寿命もせいぜい一年がいいところだし、こういうのも悪くないだろう。





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