【子守】
「そういえば」
「はい」
何故か道具と向かい合っての違和感あるランチタイム中。ふと、思い当たった。
「手洗いは」
そう、コレは片時も私の傍から離れないつもりらしい。ならば下々の事は一体どうするつもりか。
「あ」
彼女の手が止まる。どうやら何も考えていなかったらしい。
「……その時は声を掛けてから行きなさい」
仕方がない。ああ、なんで私はわざわざ食事中に幼子の下の世話をせねばならんのだ。せっかくのフレンチ・トーストが台無しだ。
「その間の護衛は」
この子供は、面倒をかけるな。道具なら道具らしく素直にはい、はい、と従えばいいのだ。
「数分位気にするな」
「でも」
幼いからこその意固地か? これからは出来るだけ、せめて10以上の年齢の物を扱いたいものだ。アレらはあまり手がかからない。
「大丈夫だから」
「……畏まりました」
あ、コイツめ、服にケチャップを付けている。
このまま何処か私室を汚されでもしては堪らない。ウェットティッシュを一枚取り出す。こんな所でも世話掛けさせおって。私はお守役を引き受けた覚えはないのだがな。
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