第一部 [1/32]


十一番隊といえば、「戦闘専門部隊」の異名を持ち、十三隊最強を自負する。
隊士たちのほとんどが強面で好戦的な乱暴者。

その中に女性死神がいるとしたら、それは副隊長である草鹿やちるだけであろう。



*****



春。
桜の花が散り始める頃、十一番隊隊舎に怒号が響く。


「おうおうおうおう!何へばってんだ!まだまだ始めたばっかだろうが!」
木刀を振り回しながら、床に転がっている力尽きた隊士たちを怒鳴るのは、十一番隊三席の班目一角。
彼の周りで倒れている隊士たちは、汗と疲労で顔が、隊服が、崩れに崩れている。

少し離れたところでは、汗や涙でグチャグチャになった隊士たちを横目に見ながら、十一番隊五席である綾瀬川弓親が横髪を耳にかけていた。



一方、十一番隊には稽古場へ行かず、ひとり黙々と事務処理をするものもいる。

朝からしていたであろう書類は、机の端にこれから配達する隊ごとに分けられていて、作業のお供にと用意したお茶はもうすでに底をついていた。
腹の具合からするとそろそろ昼だろう。

(今日も昼飯が遅くなるなー)
かんろは戦闘好きな十一番隊でありながら、稽古場には滅多に行くことはない。
なぜならこの隊では、溜まりに溜まった書類を自分からやる者がいないからだ。

かんろも他の隊士達と同様に放置することもできるだろうが、放置して他の隊からグチグチ言われる方が面倒だ。
そのため、通常であれば隊長や副隊長が使用するはずの執務室にこもっている。
今日も血の気の多い隊士たちは、黙ってこの紙と向き合うことなど出来ずに、一角を筆頭にすぐ稽古場へと行ってしまった。

本当はかんろだって事務作業ばっかりは嫌だ。
自分だってほかの隊員たちのように稽古場に行って木刀を握りたい。
戦うことが好きだからこの隊に入ったのに、これではいらないストレスが溜まってしまう。




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