契約

翌日、不動産屋の案内で、国際通り近辺のお店を4軒見せてもらった。

1軒目は、国際通りから少し外れた所にある喫茶店。
ここは普通に営業しているのだが、オーナーさんが高齢になってきたため、経営を引き続いてくれる人を捜しているとのこと。
固定客は付いているし、設備も整っていて好条件ではあったが、この時の僕は、どうせやるならゼロから始めたいと変なプライドがあったため、この物件はその場でお断りした。

2軒目は、荷物が片付いていないとのことで、外から店内を覗いて見ることになった。
カウンターをメインにしたアメリカンな店の作りが少し気に入った。

3軒目は、喫茶店の跡地なのだが、もう作りが古く、一体いつの時代の建物ですか?といった感じで、気に入らなかったが、再開発区分に入っているということで、数年後に立ち退き料が入るらしい。
現金にもその立ち退き料に惑わされたが、やはり店の古くささが気に入らずお断りした。

4軒目は、店の作りもまだ新しめで、カフェの跡地だけあっておしゃれな感じがする。
広さも充分だし、テーブルも椅子も付いていて、そんなに傷んでないからこのまま使えそうだ。
それに店の裏に専門学校があり、集客も望めそうで、僕はこの物件が凄く気に入り、このお店の見積もりを不動産屋に出してもらって、ホテルへ帰って検討することにした。


沖縄滞在最終日、一晩考えた末、不動産屋へ昨日の4軒目に見た物件を契約したいと伝えた。
不動産屋さんの話では「契約はできるが、まだ借りている人がいるので、時間がかかる」ということで、仮契約をすることになった。

仮契約後、保証人と本契約の準備など、片付けなければならないこと山ほどあるため、一旦、沖縄を後にすることになった。
帰りの飛行機の中で、次来る時は沖縄移住の時なんだなぁとぼんやり思ったりもした。


沖縄から帰ってきてから杏伍と連絡を取り合わなくなっていた。
僕はそれがおもしろくなかった。
確かに許す条件として、沖縄へ来てお店を借りる手助けをしてくれ、杏伍に賃貸契約の保証人にもなってもらった。
でも自分の役目が終わったら罪滅ぼしはもう充分にしましたよ的な態度が妙にムカついた。
そしてもう一つ思い出した。
沖縄での会話だと思うのだが、何かの話の流れで、僕が杏伍を許した時の話になって、「あの時は、あいつ意外と物分かりいい奴だと思った」と杏伍が言ったことが、その時は軽く聞き流せたのだが、とうも今になって無性にムカついてくる。

復讐したい!と強く思った。

復讐方法を考えるうちにある結論に到達した。
それは僕が沖縄で成功すること。
沖縄移住を成功させ、お店も大繁盛!そして金持ち!
もしそうなったら杏伍は後悔するだろうなと思うと、何が何でも成功させようと思った!

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