ここは奥州は陸奥の百刑場。だだっ広くて何にもないはずの場所に1人の少女がうずくまっていた
「君はこんな所で何をしているんだい?」 『……な、なにもしてない』
話しかけられたにもかかわらず、少女は相手を見ない。見ようとしない。うずくまったまま何もしようとしない
「何にもしてないというより、君は何にもしたくないって感じだねぇ」
うずくまった少女の前にしゃがみこみ話しかける
『だ、だったらなに…ていうか、あなたは誰なの』 「僕かい?僕は彼我木輪廻。仙人さ」 『仙人?』 「そう真っ当な仙人さ」 『へ、へぇ…仙人なんだ…』 「信じてないような言い方だねぇ…。うけけうけけっ」 『……』 「まぁ、いいさ。君が信じようが信じまいが君の勝手だからね」
顔を上げようとする少女。だが、戸惑い。止める
『…私は…xxx』
とりあえず名前を名乗るxxx
「ねぇxxx。うずくまってないでさ、顔上げたらどうなのさ」 『……怖い』 「何が怖いんだい」 『…っ、ここが私の知ってる世界じゃないって…それが…怖く、て…』
だから、何も見ないよう見えないようxxxはうずくまっているのだ。この世界が自分の知らない世界じゃないと認識しないために。ただ否定し続けていた
「通りで僕が君に違和感を持ってしまう訳だよ」 「そうだよねぇ。怖いよねぇ。突然知らない世界に居るなんて」 「訳が分からないよね。訳が分からなくって精一杯思考してもそれでも訳が分からなくって挙げ句の果てに混乱してしまって」 「仙人たる僕でさえ、君が何故この世界に来て…否迷い込んでしまった理由さえ解らないけど」
彼我木輪廻は未だにうずくまっているxxxに話す
「君はここでちゃんと向き合わなければならない」 「ここでちゃんと向き合わなければいけない」 「ここでうずくまったまま否定し続けてもダメだ」
『…っ、…っ!』
うずくまったまま声を押し殺し泣く
『で、でもっ…!』 「なんだい」 『…、でも…っ』 「…なんだい」 『し…信じ、たくな…いよ』 「うん」 『信じたく…ない…!』 「うん」 『ここが、知らな…い世界なん、て』
『や、ヤダよ!ヤダ!ヤダよぉ!』
声を上げる。精一杯声を上げた。顔を上げ、精一杯泣いた。ボロボロと涙を流すxxx。突然知らない世界に居るのだ。訳が分からない、なんで自分がこうなってしまったのか、なんで自分だったのかが分からない。分かりたくも、なかった。この世界にとってxxxは居ていい存在ではない。そんな存在だと思ってしまうと、悲しくて寂しくて苦しいかったのだ。そんな気持ちが溢れ出した。一気に溢れ出した。我慢していたものが溢れ出したのだ
「今は泣くといい。今は泣いていればいい」 『っ…ひくっ、う…んっ!』
そして初めて彼我木輪廻を見た
『×××っ…!』
苦手でとても苦手な人が目の前にいた
「 」
彼我木輪廻はxxxの苦手意識を記憶をただ投影してるにすぎない
『ひくっ…う、うぅ』
苦手だけど苦手だけれどxxxはこの人…否彼我木輪廻に映っている人が好きだった
大好きだった
臆病な君に
―――… あとがき 突然知らない世界にやってきた主人公は知らない世界にやってきたなんて信じたくなくって、うずくまっていたところに彼我木輪廻が現れたという訳です。主人公は最初、彼我木輪廻を見ていなかった為に性格はとがめの苦手意識から容姿は七花の苦手意識から形成されてました。主人公が彼我木輪廻を見た時に形成された苦手意識は…皆様のご想像にお任せします
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