03
「親衛隊なんてサイテーだ!!」
突然響いた喧しい声に思惟を引き戻される。視線を向ければ、相変わらず美形達に囲まれた転入生が腰に手を当てて仁王立ちしていた。
…容姿も性格もいい子がやるならともかく…転入生がやったのではとんだホラーだ。
反応しない僕に苛立ったのか、転入生は更に叫ぶ。
「そうやって制裁ばっかして! こいつらを孤独にするんだ! お前らのせいで俺はケガしたんだぞ! 謝れよ!!」
「…お言葉ですが、我々会長方親衛隊が君を制裁したことはありません。その怪我だって、君が勝手にぶつかって転んだだけでしょう。相手が親衛隊員だったからといって言い掛かりをつけるのはやめて下さい」
「な…っ、俺が悪いっていうのかよ!?」
「実際そうでしょう? だいたい…」
「ちょっと待ちなさい。黙って聞いていれば…何様のつもりなんだい?」
そう言って転入生を庇うように前に出て来た副会長。
そして他の役員がそれを援護する。
「親衛隊のくせにー、春チャンを傷つけるなんて許さないよー」
さんざん利用した親衛隊をあっさり切り捨て、転入生のお綺麗な理想に縋り付く会計。
「親衛隊なんて」
「いらないよね」
「「解散しちゃえば??」」
自分達の世界に他人が踏み入ることを厭うくせに、見分けてくれたからと転入生に依存する双子庶務。
「……きえ…ろ…」
自分から歩み寄る努力をしないまま、話さずとも解ってくれる転入生に甘える書記。
「まったく、皆の言う通りだよ。同じ空間に居ることさえ忌ま忌ましい…」
誰もが気づいている作り笑いを指摘されたことで、転入生は本当の自分を見つけてくれたと嘯(ウソブ)く副会長。
「………」
…皆が皆、あまりに幼稚すぎて笑えない。