ナルトSIDE





「ナルト、誤解だ!」

「来るなってばよー!」


堪ったもんじゃない。

カカシのことが大事で、命懸けでカカシを助けて。
けれど、それは当然仲間としてのことで。

なのに、その後、カカシと話をしていたら周りが言い出した。
男同士でも…とか、二人は前から怪しいと思ってた…とか、勝手なことばかり。

カカシとなんて考えたこともなかったのに、言われて思わずカカシを見て、目が合った瞬間、ナルトは一瞬そんなことを――…
つまり、カカシと抱き合ったりだとか、もしくはそれ以上のことをしたりだとかを想像してしまい


「向こう行けってば!」

「だから、誤解だって言ってるでしょ!」

今、追いかけてくるカカシから逃げる状況に至っている。
そんな様子を、周りの仲間は“やっぱりあの二人は…”みたいな目で見ているわけで、本当に勘弁して欲しい。

「ナルト!」

グッと腕を掴まれては逃げ道を失うが、だいぶ走って逃げてきたからか。
気づけばもう他の皆からは姿が見えない所まで来ていた。

「離せってば!違うんだったらなんで追っかけてくんだよ!?」

「なんでって、お前が逃げるからだろ?…ていうかそんなに俺が嫌なの?ちょっとショックなんだけど…」
「……」

ナルトは眉を下げるカカシを睨む。
嫌、というか。だって、

「当たり前だろ!?だって…男同士なのに!」

「そりゃまあ…。でも実際違うんだから周りの言うことなんか気にしなきゃいいじゃないの」

「気にしなきゃって…できるわけねーってば!」

そんな関係では全然ないのに好奇の目で見られて平然と過ごすなんて。
だが、しかし考えてみたら確かに。皆にカカシとの仲を冷やかされた時、ナルトは真っ先に青くなり「嫌だ」と逃げ出したけれど。
カカシは「俺だって嫌だ」と言うでもなく、周りの誤解を解くでもなく、ナルトを真っ先に追いかけてきた。

周りに自分がどう思われるかよりナルトを優先したのだ。


「…カカシ先生は、ヤじゃねーのかよ?」

男のナルトと噂がたつなんて、普通は絶対嫌だろう。
思わず訊けば

「うーん…。……ま、人の噂も七十五日って言うじゃない」

とカカシは本当に気にしてなさそうな様子で答える。

「七十五日!?ながっ!!」

「まあまあ。ほっとけばその内飽きるって」

カカシの言い分としては「ムキになって否定すればするほど怪しまれるもの」だそうで。
全く、本当に暢気というか何というか。
しかし、ナルトはカカシのそんなところも嫌いじゃないわけで、しぶしぶそれに従った。

カカシが自分と噂がたつことについてどう思っているかは、結局聞けず仕舞い。


――けれど、人の噂は七十五日。

それは、カカシに嵌められたのではないかと一ヶ月後、思うナルトがいた。

「お、来たぜ。お二人さん」

「ヒュー!今日も仲いいわね!」

「……」

「……」

そんな仲間たちの言い様に、やってきたナルトとカカシはの二人は顔を見合わせる。

「どういうことだってばよ!?」

「ん〜…。俺にもよく…」

「カカシ先生の嘘つきーーっ!!」


そう。一ヶ月後には、里全体に知れ渡り、すっかり公認となっている二人がいたのである。





→カカシSide






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