『寝坊でしょ。夜はちゃんと早く寝ろよ、うずまき』 (……どうも納得いかねぇってばよ) 午前中に、担任兼恋人であるカカシに遅刻の件で注意されたナルトは、夕方、未だ少し腑に落ちない顔で再びカカシ宅に居座っていた。 両親を早くに亡くし、天涯孤独の状況で一人暮らしをしているナルトは、暇さえあればこうやってカカシの部屋にやってくる。 合い鍵は、カカシとこういう関係になる前に貰った。 一人暮らしのナルトの状況を担任であるカカシが心配してくれて、いつでもおいで、と言ってくれたのは結構前のことだ。 素直に言葉に甘えて気軽にカカシの家を訪れるようになったナルトが、カカシに所謂……夜の営み風なことをされたのは、それからそう月日も経たない時のことで、 あれって本当に心配してのことだったのか?とナルトは思ったりしたが、恋人となった今となっては、そんな小さなことはあまり考えないようにしている。 カカシが帰ってくるまで暇だったので、制服のシャツや数日分溜まっていた自分の洗濯物を全て洗濯機にかけて風呂に入ったナルトは、風呂から上がってから重大な事実に気付いた。 (あっ、着るもんねえ!) そういえば、替えの服やパンツを今日一回自宅に寄って補充しておこうと思っていたのに。 ナルトの手によって先程洗濯機に放り込まれた衣類は、今もまだゴウンゴウンと回されている。 終わるまであと三十分はかかるだろう。 干して乾き終えるのまで考えたら一時間越えは確実だ。 このままだと全裸でカカシを出迎えることになる。 ワタワタとやむを得ず全裸のまま浴室を出ると、部屋に入ってすぐのところにかかっていたカカシのワイシャツをとって、ナルトは腕を通した。 多分カカシが明日学校に着ていく用のやつだが、ものの一時間借りるくらいなら構わないだろう。 体格の差からナルトが着ると、シャツだけでも太腿の付け根ぐらいまで程よく隠れる。 「おお、ちょうどいいじゃん」 良かった、と頬を緩めてナルトはプチプチとボタンを胸の辺りまで留めた。 「ただいまー」 カカシが帰ってきたのはそれから一時間半を過ぎた時だ。 洗濯物を干したものの、まだ乾いておらず、ナルトは俯せにベッドの上に寝転がり頬杖をついて、良く分からないカカシお勧めの文学小説のページをめくっていた。 ナルトから見れば、それは文学小説というより官能小説に見える。 「おかえりー」 カカシの方を見ないまま答えて、一拍置いて「あっ」とカカシを振り向いた。 「そういや先生、今日の朝の、ひでぇじゃんか!俺が朝起きれなかったのってカカシ先生が昨日夜中の三時までしつこかったせいだってのに!」 「……ねぇ、お前その格好どうしたの」 「え?」 しかし、ナルトの不満は全く違う質問となって返された。 その格好とは、勿論ワイシャツ一枚の姿のことである。 前へ 次へ戻る1/2 |