復活 | ナノ


何が自分にとって決定打になるかなんて、人それぞれだと思うワケでして。



11.油断、懐疑



雲雀さんに取っ捕まり、屋上ランデブーに続き(背景は残念ながらハートやお花じゃないむしろ火花だったアレである)またもや色々まずいあろう事かちょいとピンクい(こちらは見方によっちゃお花でも…ノオォォ!)っつー世のオトメにとっちゃ至福でも(見た目はとーってもステキですからね…!…両腕さえ見なきゃ)保身を一番に掲げる私にとっては不穏すぎる展開になりつつも、沢田君達の爆破事件のおかげ――雲雀さんに緊急の仕事来てたみたいだし――で脱出できた日から幾日か。

私は若干…いや、非常に安心できない日々を過ごしていた。

そう、風紀委員にあの場を見られた故あらぬ噂が立たないであろうかという――恐怖と。
居眠りをぶっこいたがために防御術が切れ、執務室の気温がかなり下がってしまっていたのでは?という――心配からである。

ついでに言えば、雲雀さんに手渡したエルフ語版魔術書内容(理科とチャンポン気味)も今から考えれば彼にあげてしまって良かったのかと疑問に思っていたりする。や、これに至っては断るのはコワすぎたから、諦める。
だってトンファーまっしぐらを何度体験すりゃ気が済むんだって話だよ回復薬追い付かないよそれこそ蘇生系のアイテムでエンドレス・連続リボーンである。うぉおお死ぬ気で回避ー!……。しきれてねーッ!
…でもまあ幸い、あの2ページには表も裏もオタ魂の痕跡はどこにも残してなかったからある意味命拾いだったがな。鉛筆を倒して消した跡をこすればこする程浮かび上がるこの世界の主要人物…雲雀さんがそんなちまちました作業なんぞやるワケもなかろうけどもよくよく考えてみたらヤバすぎた、今度から無難にゲームキャラとかにしとくか。…描くのを止めるという選択肢がないとこが自身が生粋のオタクであるコトを物語る。だがしかし長らく天界魔界の住人だった私、ぶっちゃけ反動がヤバいのだ。だってマグマを背景に(魔界ね)イケメンキャラとか紙は焼けちゃうし私は溶けるしで描けるハズもなかったんだもの…飢えてるのよ単純に、そして燃えもするのよ、萌えなだけに。

さて一応、噂については何日か様子を見てはみたが雲雀さんが口止めしているのか…は謎だが、今のところは目立った話は聞いていない。これは今のところセーフなのでとりあえず置いておこう。

次に執務室の気温についてだが、まず気付いたのはあの後帰宅し自室で過ごしてた時にて、部屋に来た母に「名前、こんなに部屋を寒くしていて平気なの?」と訊かれた瞬間である。
そう、よく考え…いや考えなくとも本来雪女とは冷気まみれなその場にいるだけで辺りを凍てつかせる妖怪なのだから、そこで普段は雪女特有のそれが漏れないよう防御術を身体に薄く纏わせるべきだとあらかじめ実行しておいたのである。…保身第一、周りの人間への配慮第二だがな。
だけども雲雀さんの所で居眠りをした際に解けてしまったらしく、そのまま気付かずに過ごしていたため母に疑問に思われてしまったのだ。…私最近暑がりでさアハハハ…、と棒読みで言い訳しておくしかなかったけど。

よって、おそらく彼の執務室も最後の方は結構冷えていたんじゃないかと推測できるのだ。いかんせん私にとっては快適なもんだから防御術が切れてもわかんなかったんすよごめんね雲雀さん万々が一風邪なんか引いちゃってたら…私ってバレなきゃ平気だよね、うん。しかしだね…、頬を上気させた彼ちょー見てみてーきっとマジうっまそー!とか一瞬想像した私咬み殺されればいいね。

…にしても駄目だな、今度からは寝る時も注意して効果が持続するようにしとかんと。就寝時の気の緩みというか、家で寝てる時は布団に入ってるからいいやと術は解除してたのが災いした。
あー…そういや雲雀さん顎触ってたけど指痛めなかったかね…防御術使っても弱めだったから私自身は冷たかっただろうし。凍傷…は大袈裟か。長めに…触り続けていられた訳だし…しかも終いには……うあああ!

…今度からもっと強力に防御術を纏おうね、私。少なくとも「ふうん…君って手足冷たいんだね」くらいの会話になる程度には。…つい雲雀さんを例に想像しちゃったけどもうこんな事態ありえないのだから、あまり意味はないかもしれないが。いや、他人に掴まれた時とかにはやっぱ意味はあるわな…ってそれどんな状況だよ。コワ。
因みに牙は見られちゃったからあえて幻術はかけず相も変わらずそのままだ。形変わったらそれこそ逆に謎すぎだし。

それにしても本当、あの日は色々とマズかった。
何と言ってもだ、寝てるのに攻撃避けちゃった点とか。だけど残念ながら、これは長年戦い続けてる間に身に染み付きすぎて(むしろ沁みすぎて)癖になってるから今更抜けやしなかったりする。おまけに悪魔や吸血鬼はそういった殺気とか悪いモノに敏感な生き物だから尚更である。まさに『!』てな感じに身体が勝手に反応するのだから。便利だけど、雲雀さんみたいにちょいとアレーな暗めの道に片足乃至両足突っ込んじゃってる人間から見たらさぞや疑わしく目に映るのだろうて。実際殺し屋?とか宣われちまったし。それってどこのブラックベッビーだってんだよだがしかし過去に幾度平穏の為敵を一掃してきたか!それこそ無双状態時に相手人間ですらなくてまさかのモソハソ状態だったよ誰か肉よこせよ両者で必須だろうがコンチクショー!

…ゴホン。因みに実はそれら、殺気を含めその気になれば相手の体から滲み出る気迫(オーラとか)を視認する事も可能だったりする。獄寺君や雲雀さんのそれを肌でモロに受けたり(=感知したり)もしたけど、要するにそれを目で見るってだけである。まあつまり細かく言うに、悪魔の血故であり何てったって魂を感知するくらいだ、目でも認識できてもおかしくないと言いますか。…ただし眼球に力を込めるから吸血鬼の名残ある私は何らかの影響を受けてしまってるらしく、瞳が紅くなるのが痛いところだったりする。「私何かしてますよーん」と言ってるようなものなのだから。ただしこれは吸血衝動時と違い幻術で誤魔化せるので、要は気を付けて注視すればいい話。
…って、おおっとまさに写輪眼むしろ白眼も含まれてんじゃね?とか思った人私も半悪魔にされた時は内心突っ込んだものヨ…だがしかし私は幻術と体術のみで忍術は基礎どころか完全なる零からスタートなプー具合でして…それでもぶっちゃけこの漫画私の部屋にあるから挑戦してみようかしら、まじで。白眼なだけに白目になるだろうけどな、出来なすぎて。

話が逸れた。とにかく、徹夜にしても吸血鬼の体力を以てすれば何て事はないもんだからつい驚異の一週間ぶっ通し徹夜とか(勉強・修業と僅かな萌え時間のため…後半が主じゃないぞ!…一応)やらかして、しかもそれを雲雀さんにポロリしちゃうとか。
…まあつまりだ、疲れて寝たのではなく勉強に飽きたから眠ってしまったという。雲雀さんがいないからって気抜きすぎたわ。だってオタ魂あの場で発揮するワケにもいかなかったんだもの、って言うかそれ以前に勉強わかんないトコばっかなんだもの…あの、ザ・理科39点は伊達じゃないね。しかも雲雀さんに最終的にその羞恥の塊バッチリ目撃されちゃったしね…だけどそれによってまさかの風紀手伝いなよでないと咬み殺す――色んな妄想の罪悪感故か勝手に耳が自動変換しそう聞こえそうだったっていう――なんつー勧誘(幻覚で言うならば脅し)を回避できたのだからこれだけは成績悪くて助かったと思う。…ふふふ、素直に喜べやしないぞ…。

つーか冗談って言ってたけど私、女だからね。風紀に女の子とか駄目でしょ、色々と。特に私みたいなの。食らい付くぞ…敵じゃなく喉元に。
ヴァンパイアなんぞこの世界じゃ私しか存在し得ないのだから特にも何もないけど。

それにしても雲雀さん若干目が本気だったんだよ…?うっうっ怖かったよ…(顔がと言うより勿論原作的にーとかね)一体何基準でそう判断するに至っちゃったというのやっぱりお腹パーンチ!(パーだけど)のせいなの?当たり前だがブチ込まれたが最後むしろ最期、確実に平穏な学園生活からはおさらばだ。バイバイキンだ。そしてそのまま再登場しない(=話続かない)。
前も言ったけど死ににくいなら良いやんけとかそういう問題じゃないいくら何でも木っ端ミジンコじゃお陀仏すると思うんだ…!や、流石に風紀でもそこまでの事態にはならないか。いやいやそういう問題でもなくてだな…。

今までも続けてきたけど――今一度主要人物に関わらないよう魂の波動チェックは怠らないようにする。これしかない。もう半径30m程は近付かない…のは無理があるから、同じクラスの人達のみ許容・ガマンする。特に距離的に避けきれない後ろの席のカワイコちゃんとか(あと良心的にもな…色々伝言とか頼んじゃったし…)。…微妙にサイヤ人が付随してくっから視界をチラチラするたんび胃がチクチク地味に痛むけども。


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