驚愕。
今の俺を一言で言うとこうだ。
いつも笑顔で優しくて浮気なんかとは無縁な俺の彼女が、浮気をしていたのだから。
やけに冷静な俺は、理由を考えてみた。考えてみると、思い当たる節がある。部活で疲れててあまり気にならなかったけど、最近彼女の笑顔が減った。それに部活で忙しくてなかなかデートも出来なかった。いやもはや会うことも話すことも電話もメールも以前より漠然と少なくなった。
浮気をさせる原因は、俺にあるのだと思った。だからだと思う。悲しくて悲しくて本当に悲しくて、自分が情けなかったけど、涙は出なかった。
俺は、彼女をただ見ていた。だからだろう。そんな俺を見ている人がいたことを、俺は全く気付かなかった。


翌日。
俺は学校に来たものの、授業を受ける気にはなれなくて屋上へ向かった。
屋上から見た空は俺の心境とは違い、青く澄んでいた。なんだかそれにムカついて、俺は寝ようとした。尤も、それは阻まれたが。
「幸、村…く……」
どこがで見たような気はするが思い出せない、そんな女が俺の前に立っていた。返事をする気にはなれなくて、俺はただその女を見た。
「ああ あの私っ…昨日、幸村くんの彼女が 他の男の子と いる の、見てっ…それ を、幸村くんが 見てたのも、見て…だからあのっ幸村く、元気ないの 気になって わた 私、少しでも 幸村く の 力 になりた く て……あのあの えと あの」
最初はこの女の話し方にムカついた。でも、目をグルグルさせながら話す女があまりにも一生懸命だった。一生懸命すぎて、なんだか気が抜けた。



一生命がかわいくて
(俺はいつの間にか目の前の女のことしか考えていなかった)((ゆ、幸村くんっ 笑っ た!))

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