彼女のこと


「おいや、そこの旅のおかた、空を飛んでいくのはおよしんさい。近頃は、大気が不安定でとてもじゃないが、空の移動はできんよぉ。まったく困ったものじゃ」

「あっ、はぁ。ありがとうございます。」


この村には珍しいポケモンがいるって聞いて、せっかく霧の深い山やらを登ってきたっていうのに、いるのは、どこにでもいるような、虫ポケモンや、鳥ポケモンばっかりだった。だから、リザードンで次の町まで行こうとおもったんだけど、ここにすんでるお婆ちゃんにあんなふうにいわれたからには、大気が安定するのを待つしかないんだろうな、はぁ、こんなことなら、くるんじゃなかった。ポケモンバトルしたい。

赤い帽子をかぶった少年、レッドはモンスターボールの中にリザードンを戻すと、はあー、っと深いため息をついた。


「あっ、そうだった。道具あんま予備なかったんだった」

すると、隣にいたお婆ちゃんが口をひらく


「ほお、お前さん、道具を探しておるのかねぇ、あいにく、此処には都会にあるような店はないんだよぉ。すまんねぇ、」

えっ、なんだって?
散々、僕を落ち込ませたあとのこのセリフ?有り得ない、なんなんだこの村。はやく違う場所にいきたい。

「でもなぁ サーナのとこなら、あんたさんの欲しいものもあるかもしれんのぉ。おの村唯一の店だからのー」

ほぇっほぇっほー

お婆ちゃんはなんだか機嫌が良さそうだけど、僕は最悪だ。
でもまあ、店があるだけ助かったと思う。道具さえ揃えられれば、そらをとぶ無しで歩いて帰れるし。
早くそこいって、買って、帰ろう。

レッドはお婆ちゃんに店の場所を聞いて御礼をいってすぐに歩きだした。
村の面積は小さいのかすぐに店についた。
レッドはろくに看板もみずに店のなかに入っていった。もちろん相棒のピカチュウは肩に乗ったままだ。そして少し震えている。

「あの、すみません。一番近くの町まで歩いていくだけの道具ください。」

レッドはカウンターに座ってなにやら調合している人物に声をかけた。おそらく、彼女が店員だろう。
随分若いな。僕と同い年か、ちょっと下くらいかなー。なんて思っていると、

「はい、すみません、調合中でっ!今伺いますっ!?」

少女は緑色の髪を横でおさげにしていた。
こちらを向いた彼女は大きなブルースカイの瞳をこちらに向けたと思うと、大きく目を見開いた。

「?あのどーかしまし「かっかんっ看板見なかったんですかっ?!!ここはっ!ポケモン禁制です!!今すぐ出て行ってください!!」えっ?」

少女は早口でそう言うと、腰の、なにかに手を当てながらこちらへ近づいてきた。
そして、

シューー

「ぶっ!」
「ピッカ!!」

僕達に勢いよく、虫除けスプレーを噴出させられた。

彼女の瞳はゆらゆらと揺れていた___



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