PM6時に摘む花1


「くっそ、あんにゃろまた寝てやがる…」

今日も今日とてくそ隊長を起こしに来たが、今日も今日とて返事がない。
はぁ、ったくなんで私があんな奴を毎回起こさな…ああ、でも土方さんの手を煩わせるわけにはいきませんし。

汚れ役を引き受けた、ということで自分を納得させよう。
自分の隊長を起こす役割を酷い形容の仕方だけど、あいつにゃそれがお似合いだ。

「おい沖田ドS聖人、いい加減起きろってのばーかばーか」

だんだんイライラしてきたので純粋に悪口を込める。
少し危険な手段ではあるが、地獄耳のヤツなら起きるかも、という意図もある。

しかしそれでも起きた様子はない。

「どんだけ快眠だよ、睡眠薬でも飲んだんですか、量間違えてそのまま永眠すればいいのに…」

ぶつぶつと文句を言いながら、ノックもせず襖を開けてやる。
沖田総悟はというと、布団から大いにはみ出して部屋の隅に丸まっていた。

「風邪引きま、…風邪引け」

一瞬心配してる的な台詞が浮かんでしまい、即座に悪口にすり替える。
無意識に心配するなんて優しすぎるわ私。

「沖田さんはよ起きて、沖田起きた?オラ笑え」
「……あ゙ー…」

低い呻き声が響く。
わーお、こんな低い声も出るのね、興味ないけど。
ていうか、微塵も動かないけど?

「隊長ほらはよ起きて、仕事仕事!」
「………」
「ほらもう早く、蹴り転がすよ!?」
「……せぇ」
「はい?」
「…うるせぇ、 ……誰だ」
「誰ってあんたね、毎回起こしにくるの私でしょうが、この可憐な声覚えと、」
「オメェか……、…あっち…行けィ」

こちらを見ようともせず、沖田総悟はそんなことを抜かしよる。
こいつ…マジふざけんなよ、あんた起こさないとこっちだって仕事に戻れないんだよ…!
そう言おうとし、けれど唐突に気付く。

違和感。
僅かに感じたそれは、鼻をすする音で確信に変わった。
まさか……。

「ちょ、沖田さんまさかあなた…具合悪いんですか?」
「………」

答えない。
しかし呼吸は確実に荒くなった。

うそ、風邪?
もしかして風邪引いてるの!?

「は、沖田隊長!?ちょっ、こっち見、」
「うるっ……せェ、…っつってんだろ…」
「ご、ごめんなさい」

思わす謝る。いやしかし、ここまでしんどそうな隊長、初めて見た。
斬り合いをした後なんて酒飲むくらいタフなのに。傷には強くても毒には弱い、ってか。

ていうかあの、どうしよう。とにかくあったかくした方がいいんだっけ。
私なんも知らない、えっと、こういう時ってどうすれば!?

「と、とにかく沖田さん。一旦布団に戻って顔色見せて下さい」

布団、ああ、あんなに遠い…!
すぐに立ち上がって布団を引っ張り、毛布も引っ張る。簡単に整えて、沖田さん、と声をかける。



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