07それじゃ、また


「それじゃ、また」
「またアル!」
「うん!銀さんにもよろしく言っといて」

神楽ちゃんも無事に納得してくれたようで。
二人は手を振って帰って行った。

「祐季」

姿が見えなくなったのを見計らい、土方さんが声をかけてきた。
うう、なんだろうこの状況。
真選組の皆様のことは凄く凄く好きで、本当は今も土方さァァァァんとか沖田さァァァァァんって叫びたいんだけど。

「つちかた、さん」
「土方(ひじかた)だこるァァァ!!」

こんな半端な冗談しか(しかも恐る恐る)言えないなんてッ!

「ったく。前までの記憶はねェってのに俺の漢字表記は覚えてんのかよ。んで読み方は忘れたのかよ。随分と都合のいい記憶喪失だなオイ」
「記憶喪失、ってわけじゃないんです」
「あ?」

お願いだ睨まないでくれ。
その気がなくても怖い!瞳孔かっ開いてるからァァ!

「ええとその、話しても信じてもらえないでしょうけど…」
「何でィさっさと話しなさんなァ。俺ァグズは嫌いですぜ」

アイマスクを被せながら隣で沖田さんが言う。
多分バズーカを揺らしてるのはわざとだ。

「俺達も荒唐無稽な話を聞く覚悟は出来てる。信じるかどうかは、聞いた後だ」
「…わかりました」

頷き、私は話し出した。
自分ですら、よくわかっていない話を――





私はただのOLで。
昨日まで普通に現代、現実でオフィスレディをしていた。
そして帰宅、いつも通り就寝。
夜中に起きると――――そこは万事屋の押入れ。

銀魂のことは知っている。
だから銀さんならびに真選組、その他諸々のことも知っている。


そんなことを話し、土方さん達の話も合わせると、
どうも私は真選組の二番隊長さんと『入れ替わった』らしい。
名前まで同じって、確信犯じゃないか。

「でもおかしいですね。私銀魂全部読んだのに祐季なんて人知りませんよ。まだ構想状態だったのかな」
「…祐季は、万事屋の奴らとの接触を極力避けてた。あんま表にも出なかったしな」
「あ、そうなんですか。じゃあ、辻褄も合いますね」
「…なァ。お前のその話が本当だとして…んなら、お前にゃこの先の未来が解るのか?」
「………いえ」

首を振って否定した。

「私がいる時点で、ここはもう私の知る世界じゃないです」
「…なるほどな」

土方さんが目を閉じた。
ああ、こんな状況で言う言葉じゃないけど、土方さん超かっけェェ…。土方様って呼びたい…。煙草に火ィ点けてあげたい…。

「(ゾッ)」

あれ、土方様が肩を震わせているよ。寒いのかな?

―と、そこに場違いな声が響いた。




「うーっす皆ァ〜、近藤さんが帰ったよォ〜」
「近藤さん…!帰ってきたのか」
「どうしやす、土方さん」
「…どうもこうも、今の話を聞かせるだけだ。―っておい総悟、どこ行く」
「昼寝でさァ。さっきから気分が悪ィ」
「………」



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