05言っときますけど


「言っときますけど、ほんとにロクなことにならないと思いますよ」

新八くんは何度も念を押すように言って、それから真選組のパトカーに近づいた。
するとすぐ前の店から男の人が2、3人出てきた。

隊服。
真選組だ。

「あ、ちょうど出てきたんじゃないですか?」
「ウワッ、アイツもいるネ」
「土方さーん、沖田さーん!」

ふ、ふおおおおお…っ。
ついに真選組の皆さんとご対面かぁ!

「…ん?何でィ、旦那んとこの…」
「「――ッッ!?」」


え?
なに、なんで初対面のはずなのに二人ともこっち向いて驚いてるの?

「おっ、おい、あそこにいるのって!」
「あ?…ああっ!?」

えっ?
何で真選組の皆さんがざわついてるの!?

「―祐季!!」
「おい手前ら取り押さえろ!!」
「えっ…えええ!?なにこれなに、どういう状況ォォ――」









気がつくと。

「………え、」

目の前に凛々しく立つ黒い背中。
横にはバズーカを構えたベビーフェイスの男の人。
煙の向こうに見えるは、先刻まで一緒にいた万事屋のメンバー。

私は、真選組に『匿われて』いた。


「おい」
「ッはいっ!?」

私を庇うように立っていた土方さんが、瞳孔が開いた鋭い目で振り返った。
思わず身を固めるが――、

「…怪我、ねぇか」
「―――え?」

怪我……?
いったい何のことだろう。首をかしげる。
それを肯定ととったのか、土方さんはそうかと言ってまた前を見た。

訳がわからず、隣を見てみる。

「行方眩ましといて旦那んとこの奴らとデートたァ、祐季もやるようになったなァ?屯所帰ったら望みどおりお仕置きしてやりまさァ」
「え、ええ!?ちょ、ちょっと待ってよ、意味が解らないんだけど!―っていうか、」

なんで、私のこと知ってるの。
行方眩ました、って、何!?

「し、新八くん!神楽ちゃん!大丈夫!?」
「イテテ…。あ、はい、大丈夫です!でも何でいきなり僕ら取り押さえられてるんですか!?」
「そりゃあ決まってんだろ」

土方さんが厳しい声のまま言う。



「うちの隊士を拉致した疑いがあるからだ。屯所まで来てもらうぞ」



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