03あァァー…ったく…
「あァァー…ったく…誰かさんの所為で寝不足だよコノヤロー。結局居座りやがるし…」 首をコキコキと鳴らしながら、用意された白米をちびちびと食べ進める。 「文句言ってないでさっさと食べてください、銀さん」 「何だお前、銀さん呼びで敬語だと文字じゃ新八と区別つかねぇじゃねーか」 「すいませんね祐季ですよ祐季。なに、どうすればいいんです」 「あれだ、お前んとこだけカギカッコの前に祐季って書いとけ」 祐季「チャット!?」 器用だなオイ。 昨晩、あれから。 不毛な会話を更に小一時間続け、結果的に祐季は『一時的に』ここに留まることになった。 あくまでも一時的に。 祐季自身のことについてはほとんど何も解らなかった。 何を聞いても要領を得ないし、どうも本人も良くわかっていないようだ。 まったく、訳わかんねえ。 なんでこうウチには厄介なモンばっか来るかね。依頼なんざ2週間くらい来てねーってのに。今月は(というか今月も)家賃は無理だな。 「…新八のことも知ってんだな」 「え?…ああ、まぁ。神楽ちゃんのこともだけど」 「ってことは何?下のババアとかその他諸々知ってるってこと?」 「一通りは」 「テメーのことすらわかんねぇってのに、なんでそんな銀さんに詳しいんだよ」 「別に銀さんのことに詳しいわけじゃないもん自意識過剰だな」 キャラ分けするためにどうやら敬語はやめたらしい。 居候するにあたって、祐季は家事全般を買って出た。 よって新八が来る前に朝飯を作り、俺はいつもより早い朝食というわけだ。 ほぼ徹夜明けで胃にモノなんか入るかっつーのとちびちび食べていたのだが、食べてみると意外も意外、新八のより断然うまくて食が進む。 「おはよーございまーっす。銀さん、起きてますー?」 と、玄関から凡過ぎる声が響いてきた。 The・地味の肩書きに恥じない新八の地味な登場。 特にイベントやフラグを立てることもなく玄関を上がり、 「おかえりなさい新八くん!」 「新妻ァァッ!?!?」 短くツッコンで出番終了。 「ってオイイイイイイイ!銀さん誰この人!説明してよ!その後なら出番なくてもいいから!」 「うるせーなー、こちとら寝不足だっつーの!」 「銀さんんんんんんん!!」 「うっるせーアル!!!」 「ホゲブッ!?」 あまりの五月蝿さに、大魔神・神楽が目を覚ましざまに新八を蹴り飛ばした。
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